10年以上放置の銀行口座があったら要注意!簡単に引き出せなくなるって本当?
配信日: 2019.10.12 更新日: 2020.04.06
取引のないまま10年以上経過した預金は、「休眠預金」として社会課題の解決のために活用されることになり、すでに活用開始に向けた準備が進んでいます。制度について知り、ご自身のとるべき行動を考えてみましょう。
執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP®認定者・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/
目次
休眠預金って??
「休眠預金」とは、預金の入出金等の最終取引日から10年を経過した預金と説明されています(各金融機関は金融庁の認可を受けた場合、通帳の記帳や発行、残高照会などを行うことも可能)。普通預金、定期預金、定期積金などが対象で、逆に、財形貯蓄や障がいのある方のためのマル優適用の預金、外貨預金などは対象外です。
金融庁によれば、休眠預金は、毎年700億円程度(2014~2016年度)にものぼります。
2018年1月に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(通称:休眠預金等活用法)が施行されました。この法律により、それまで各金融機関が独自に決めていた休眠に対する基準を統一し、最終的に収益とされていた「休眠預金」が広く、社会に還元されることになります。
何が変わるの?
各金融機関は、残高1万円以上で2009年1月1日以降に最終取引があり、その後、9年以上が経過しても取引のない預金者に対して通知、公告します。
10年が経過して「休眠預金」となった預金は、預金保険機構に納付されることになります。通知が預金者に到着した場合や預金者から問い合わせがあった場合は、新たな取引とみなされるため、休眠預金にはなりません。
預金保険機構から中立的な立場の指定活用団体へ資金が交付され、公募により選ばれた民間公益活動を行う団体に助成金として分配されます。
請求すれば、引き出すことができます。
「没収されちゃうの?」という不安の声もありますが、安心してください。請求すれば引き出せます。
金融機関に通帳や銀行印、本人確認書類などを持って行き窓口で手続きをしましょう。取引店に出向く必要のある場合があるかもしれません。必要な書類、手続きについても、前もって確認することをお勧めします。
合併などで取引銀行がない場合でも、引き継いだ銀行で手続きすることができます。
郵便貯金はどうなの?
2007年(平成19年)9月30日以前に預け入れた定期性の郵便貯金(定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金など)については、注意が必要です。取引がない場合、満期後20年2ヶ月を経過しても払い戻しの請求などがない場合は、旧郵便貯金法の規定により権利が消滅します。
20年間取り扱いがない場合に催告書が発送され、催告書の発送の日から2ヶ月間貯金の払い戻しがない場合に権利が消滅することになります。郵政民営化(2007年10月1日)以降の預け入れについては、他の金融機関と同様です。
思い当たる口座はありませんか?
アルバイトの給与口座用に開設したものの現在は使用していない。子どものころ、親が開設した口座があったはず。銀行の合併で、使用しなくなった口座がある。亡くなった方の通帳がでてきた。亡くなった方が取引していたと思われるが、通帳が見つからない……。
住所変更や名義変更で金融機関からの通知が届かない場合もあります。解約もしくは管理できる状態にしましょう。
相続対策としても考慮しておきたい「口座管理」
亡くなった方の口座の場合、手続きは困難になります。提出する書類が多くなり、相続人全員の印が必要となる場合もあります。自分の亡き後のこと、遺された相続人のことを考慮した「終活」も大切ですね。
・取引口座のリスト作成
・できる限り、口座をまとめておく
・通帳記帳は、こまめにしておく
など、対策しておきたいものです。
ぜひ、銀行口座の棚卸しを。
銀行の立場からすると、連絡先が不明、勝手に処分することもできない、困った預かり資産でしょう。国としては、銀行の収益にするのはおかしい、だったら社会的に必要なことに必要な資金を還元しようという考えです。
でも、元々は個人の財産です。一人ひとりが、きちんとコントロールしていきましょう。通帳を探す、銀行に行く、あるいは問い合わせしてみてはいかがでしょうか。思いのほか、残高があった場合はうれしいですね。
参照・出典
金融庁「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律 概要」
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士