年収と読書量は比例するっていうけれど、富裕層はどれくらい読書に時間とお金をかけているの?
配信日: 2019.10.30 更新日: 2024.09.06
執筆者:柴田千青(しばた ちはる)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー
小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。
みんなはどれくらい読書にお金をかけている?
出版販売額がこの20年右肩下がりの傾向を続けていることからも分かるよう、読書離れが進んでいるといわれています。ある調査では、20~40代の1日の平均読書時間は30分前後にとどまり、スマホ等によるインターネットの普及で本を読む時間が減った人は、増えた人を大きく上回ります。
それに伴うように、読書にかける支出も減っています。総務省の調査によると、雑誌や書籍への支出は10年前に比べ約2割減っており、特に39歳以下だと3割近く減っています。
もっとも、この支出に電子書籍は含まれず、39歳以下は電子書籍への支出が多い世代なので、電子書籍も含めた読書で考えれば、もう少し支出額は多いでしょう。
読書量と年収は比例する?
世界の大富豪、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットらは読書を重視しているといわれており、年収が高いほど読書量が多くなる傾向もあるそうです。
少し前の調査結果にはなりますが、年収1500万円以上の世帯では月に3冊以上読むという割合がもっとも高く、1冊も読まないという割合が他の年収の世帯と比べもっとも少なくなっています。
また2018年の家計調査の結果でも、年収の多い世帯ほど月の書籍等の印刷物への支出が多いことから、年収が多いほど読書量が多くなる傾向があります。
もっとも、読書量が多いから年収が多くなるのか、収入が多いから読書にお金をかけられるのかは、一概にどちらとはいないでしょう。
読書の効果とは
読書が多ければ収入が多くなるとは言い切れないものの、読書にはさまざまな効果があり、それが仕事や生活に良い影響をもたらすことは十分考えられます。例えば、読書の効果としていくつか挙げると、次のようなことがあります。
・知識や情報が増える
効率的に体系立てて学べることで論理的に考えることにも役立つ。
・コミュニケーション力がアップする
語彙力や表現力が強化され、理解力がアップし、話題が増える。
・多様なものの見方ができるようになる
先人の知恵や考えに触れることができ、深いものの見方や新しいアイデアにつながる。
これらは仕事の能力向上にもつながることなので、読書をすることは収入アップにも役立つかもしれません。
図書館や電子書籍を上手に利用しよう
読書をしたほうが良いと思っても、あまり費用はかけたくないとか、本が増えていくと保管も大変と考える人もいるでしょう。そういう人におすすめなのが、図書館や電子書籍の利用です。
今は図書館などの施設も広域連携が進んでおり、地域の図書館にない本でも取り寄せて借りることができるところが増えました。また、蔵書の検索がネットでできるところも多いので、読んでみようかなと思う本がある場合、まずは近隣の図書館にあるかどうか探してみるとよいでしょう。
また、出版規模全体が縮小する中で増えている、電子書籍も便利です。コミックが多いですが、実用書やビジネス書もあり、紙の書籍より価格を低く設定していたり試し読みができたりするので、気軽にいろいろな本を読んでみることができるでしょう。
まとめ
精神的に豊かな生活を送るのにも役立つ読書。
ノーベル化学賞をとった吉野彰氏が「ロウソクの科学(マイケル・ファラデー著)」を読んだことがきっかけで、その道に興味を持ったように、人生を左右する1冊に出会えるかもしれません。この秋、少し読書に興味を持ち、自分に合った方法で読書の時間を持てるようにしましょう。
出典
公益社団法人全国出版協会 出版科学研究所HP 日本の出版販売額
honto あなたの読書時間、世の中と比べてみませんか?
総務省家計調査<家計トピックス>
財団法人 出版文化産業振興財団 現代人の読書実態調査
総務省 家計調査年報2018年 第3表 年間収入五分位・十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
公益社団法人全国出版協会 2018年の出版市場規模発表
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者