更新日: 2019.01.10 その他暮らし

無料で漫画が読み放題の違法サイト 見るだけでも罪になる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 石垣美帆

無料で漫画が読み放題の違法サイト 見るだけでも罪になる?
インターネットでいろいろなものを楽しめる時代になりました。ネットショッピングや旅行の予約、ゲーム、読書…。

最近ではネットで漫画を読めるサイトが人気です。しかし、「無料で読み放題」をうたうサイトの中には出版社などから許可を得ずに無断で掲載しているケースも。

このようなサイトは閲覧するだけでも、罪になるのでしょうか?
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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石垣美帆

監修:石垣美帆(いしがき みほ)

弁護士

中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

ネットショッピングの支出内訳。書籍は減少するも「電子書籍」は大幅増加

本題に入る前に、最近のインターネットでの消費の状況を見てみましょう。
 
総務省統計局によると、二人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の割合は、2016年に27.8%。2006年の12.7%から右肩上がりに増えています。
 
また、2016年のネットショッピングの支出金額における「教養関係費」の内訳を前年度と比べてみると、「書籍」が9.7%減少し、「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」が9.1%減少しました。一方、「電子書籍」は22.9%も増加しています。
 
ネットショッピングの利用世帯の増加と同じくして、書籍はデジタルで購入する人が増えているということがうかがえます。
 
参考資料:総務省統計局「家計消費状況調査平成28年インターネットを利用した支出の状況」
http://www.stat.go.jp/data/joukyou/2016ar/gaikyou/pdf/gk01.pdf
 

出版社などに許可を得ず、無断で書籍をアップする違法な漫画サイトも

ネットで漫画を読めるサイトは、月額定額で読み放題だったり、漫画1冊単位で料金を支払うシステムだったりとさまざまです。課金が必要なサイトの中でも、一部無料で読める漫画を掲載していることも。
 
このように、出版社などから使用許可をもらってサービスを提供しているサイトがある一方で、無断で漫画を電子化した違法なコンテンツを掲載するサイトもあります。
 
もし、違法なサイトであると知りつつも、そこに掲載されている漫画やコンテンツを読んでしまったら、読んだ方も罪に問われるのでしょうか。弁護士の石垣美帆先生にお伺いしました。
 

無料で漫画が読み放題の違法サイトは読んだだけでも罪になる?訴えられた時の損害賠償はどのくらい?

結論から言いますと、見る方は罪になりません。ブラウザ上で閲覧する分には、たとえ違法サイトだと分かっていたとしても罪には問われないと考えられます。
 
ファイルで掲載されているものをダウンロードした場合も、刑事罰の対象にはなりません。音楽や映像のダウンロードは刑事罰の対象となっていますが、漫画のダウンロードに関してはたとえ違法サイトからのダウンロードだとしても、罰する規定がないのが現状です。
 
ただし、漫画のアップロードは刑事罰の対象となります。(著作権法119条1項)
 
まず、原則として漫画を含む著作物は複製が禁止されています。例外として私的使用(正確には「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」)であれば複製が許されています(著作権法30条1項)。
 
しかし、漫画のアップロードは私的使用の範囲を超えるため、営利目的ではないとしても違法となるのです。
 
漫画のアップロードを行い、訴えられた場合の損害賠償は明確な相場がありません。損害賠償としてかかるのは、出版社などが使用許諾をしている場合の使用料をベースとして、機会損失を算出します。そのため、企業ごとに金額が変わると考えられます。
 

便利な世の中だからこそ節度を保つようにしよう

いかがでしたでしょうか。ネット上で漫画や小説が読めるようになったのはとても便利ですよね。
 
しかし、違法なサイトが増えていることで、出版社や漫画家、小説家は窮地に立たされています。他人のふんどしで相撲を取る行為は、決して許されることではありません。
 
読んだりダウンロードするだけでは罪に問われないとはいえ、そのようなサイトを利用すること自体、良いことではありませんよね。
 
便利なだけにネット上では他人のものと自分のもの、無料のものとお金を払わなくてはいけないものの線引きが、あいまいになることがあります。
 
「みんなやってるから」「便利だから」と流されず、便利な世の中だからこそ節度を保つようにしましょう。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

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