更新日: 2023.09.06 子育て
児童扶養手当って何? 受給条件や計算方法、申請手順をFPが解説
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
ひとり親家庭の味方「児童扶養手当」
児童扶養手当とは、ひとり親家庭の生活の安定と自立を助けることを目的に支給される手当のことです。18歳(障害がある場合は20歳)までの父子・母子家庭の父または母、あるいは父母にかわってその児童を養育している人に支給されます。
<支給の対象となるのは>
父母が婚姻を解消した後、父または母と生計を同じくしていない児童、父または母が死亡した児童、婚姻によらないで生まれた児童等に限られています。ただし、児童または請求者が日本国内に住所を有しないときや、児童が父または母の配偶者(事実上の配偶者を含む)に養育されているとき等は、手当を受けることができません。
<収入・所得の要件>
全部支給となるのは、子ども1人世帯の場合、収入ベース160万円(所得ベース87万円)、子ども2人世帯の場合では収入ベース215.7万円(所得ベース125万円)です。これ以上の収入がある場合には、一部支給の対象になります。
児童扶養手当の計算方法はそこまで難しくない
自分が児童扶養手当の対象かどうかを見極めるのは、そんなに難しくありません。
ステップ1
収入・所得の要件を満たしているかをチェックしてみましょう。
ステップ2
限度額を確認し、全部支給か一部支給かをチェックしてみましょう。
ステップ3
支給額を計算してみましょう。
<支給額>
2019年4月現在の全部支給の受給金額は、児童1人の場合、月額4万2910円。2人の場合1万140円が加算。3人目以降は6080円が加算されることになっています。ただし、現在は物価スライド制が導入されていますので、支給額は毎年変動することも覚えていてください。
児童扶養手当は改正され、2019年11月より、年3回払いから6回払いに変更になります。今までは4月、8月、12月の4ヶ月ごと、年3回の支給でした。改正後には、2ヶ月ごとの奇数月、年6回支給されることになっています。
モデルケースで実際の金額を確認しよう
ここで、実際にどれくらい受給できるのか、ステップ1~3を元に算出してみましょう。
ケース1
小学1年生と3年生の子ども2人。所得100万円世帯の場合です。このケースでは、所得要件を満たしており、全部支給に該当します。
1人目4万2910円+2人目加算1万140円=5万3050円
ケース1では月額5万3050円支給されることになります。
ケース2
高校1年生と大学1年生の子ども2人。所得150万円世帯の場合です。このケースでは子どもが2人いるものの、大学生の子どもは対象外となり、1人の子どもが支給に該当します。一部支給の計算式に当てはめて計算します。
4万2900円-{(150万円-87万円)×0.0229231}=2万8460円
ケース2では一部支給として、月額2万8460円支給されることになります。
ケース3
幼稚園児1人。所得300万円世帯の場合です。このケースでは全部支給には該当しませんので、一部支給に該当するのかを計算していきます。
4万2900円-{(300万円-87万円)×0.0229231}=▲5,930円
ケース3では計算式に当てはめてみたところ、マイナスとなってしまいましたので、一部支給に該当しません。したがって、支給額は0円になります。
児童扶養手当の申請手順
児童扶養手当は申請することで受給が可能です。
手続きに必要なのは児童扶養手当申請書、印鑑、児童の戸籍謄本、申請者(親等)の金融機関の口座番号、個人番号もしくは個人番号が確認できるものと、運転免許証やパスポート等の身元が確認できる書類です。障害を理由に申請する場合には、所定の診断書も必要になります。
原則として、戸籍謄本がない場合は申請できませんが、離婚が理由で申請した際は「離婚届受理証明書」での仮受付が可能です。提出する戸籍・証明書等は、全て発行の日から1ヶ月以内のものに限られていますので、注意してください。全ての準備が整ったら、住所地の役所へ申請します。
まとめ
児童扶養手当は、ひとり親にとって、とても重要な手当のひとつです。受給要件を満たしているのなら、ぜひ手続きをしましょう。ここに出ている要件やケースは、代表的なもののみを取り上げています。自分が受給できるかどうか不明なら、住所地の市区町村に相談し、確認してみましょう。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト