共働きで世帯年収1000万円ってどのくらいいるの?家計での注意点とは?
配信日: 2020.03.13
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
年収1000万円ってどのくらいいるの?
年収が1000万円と聞くと、エリートでお金持ちというイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。確かに、民間の給与所得者で年収1000万円を超えているという人、つまり1人で年収1000万円を稼いでいる人は、全体の5%しかいません(出典:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」)。
しかし、夫婦共働きで年収1000万円ならどうでしょうか。厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」(平成30年)によると、世帯年収が1000万円以上ある世帯の割合は12.2%だそうです。夫婦協力して共働きでの年収で判断すると、1000万円のハードルも少し下がるといえそうです。
年収1000万円の家計はどうなの?
年収が1000万円もある家庭なら、貯蓄もたくさんあって、ゆとりある生活を送っているのでは? と思うかもしれませんが、実はそうともいえないデータがあります。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)」によると、世帯年収1000~1200万円の2人以上世帯での平均貯金額は1790万円、中央値は1010万円だということです。
その一方で、貯蓄ゼロという世帯が10.3%もあるというのです。年収が多いのになぜ? と思われるかもしれませんが、年収に関わらず貯蓄が苦手、難しいという家庭も多いということがうかがえます。
貯蓄力は年収に関係ない
年収が高いと購入する住宅の物件価格も高くなりがちです。安定収入があり勤務先も信頼できれば、住宅ローンの借り入れでも審査が通るためです。また、小学校や中学校から私立へ進学する家庭もあり、教育費もかさみます。収入が多いとその分支出も増えてしまうため、結局貯蓄できるお金は少なくなります。
どのくらい貯蓄ができるかという「貯蓄力」は年収とは無関係なのです。また、年収が高いと、心理的に「まだ余裕がある」と思って、つい支出が増えてしまう面もありそうです。
年収が高くても、いざという時の緊急予備資金は貯蓄で備えておく必要がありますので、貯蓄ができない、難しい、という場合は早めに家計を見直す必要があります。
夫婦の生命保険は必要保障額をしっかりチェックして見直す
共働きの家庭では、どちらかが病気になったり万一のことがあったりした場合でも、相手の収入が見込めますので一般的には生命保険の保障も少なくすみます。
しかし、家庭により、夫婦の収入の比率や住宅ローンの負担割合など個々の事情が異なりますので、夫婦それぞれ万一の場合に備えての「必要保障額」を算出する必要があります。
必要保障額とは、住居費、教育費、生活費など今後必要となる支出見込み額の合計から、遺族(厚生)年金、預貯金、配偶者の勤労収入等の収入見込み額合計を差し引いた額です。保障が必要な分だけ民間の保険で備えると良いでしょう。
働けなくなった場合の収入減に備える保険も必要な場合があります。会社員が加入している「傷病手当金」では1年6ヶ月間、給与の6割程度が保障されますが、それ以降は保障がありません。また、自営業者の加入する国民健康保険には、傷病手当金はありません。
収入減に備えるためには、一定の就業不能状態なら毎月10万円、15万円といった保険金が出る就業不能保険に加入する方法もあります。共働き家庭の場合は、妻が働けない場合にもこういった保険が必要かどうかを判断しましょう。
お互いにリスクを分散し、貯蓄力もある共働き家庭は、家計については安心です。ただし、定期的な家計や保険の見直しは忘れないようにしましょう。
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー