家計が急変して学費が払えない…そんなとき申請できる給付奨学金って?対象者と支給金額は?
配信日: 2020.04.11
子供が大学生などで学費の支払いがある場合に、収入減への対抗措置があれば利用したいものです。日本学生支援機構では、通常の奨学金に加えて、家計が急変した際に申請できる給付奨学金があります。
今回の新型コロナウイルスによる影響で減収になった場合も「震災、火災、風水害等に被災した場合」に類するものとして、取り扱ってくれます。
子供が大学・短期大学・高等専門学校(第4学年以上)・専修学校(専門課程) 在学中であれば、その学校を通じて申請できます。給付要件を満たすかどうか、確認する価値はあるでしょう。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
申込時期と対象者
<申込時期>
家計急変の場合は、通年で申し込みを受け付けていますが、家計急変の事由発生日から3ヶ月以内に申し込む必要があります。
発生日が進学(進級)前の2019 年1月以降、2020年3月以前の場合は、進学(進級)から2ヶ月以内に申し込む必要があります。新型コロナウイルスの影響で学校が休校になっていても、該当する場合は手続きを行う機会を逃さないように注意したいところです。
<対象者>
国または地方公共団体から、対象となることの確認を受けた学校に在学している人が対象です。文部科学省のホームページ「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」(※1)で確認できます。その上で、下記基準を満たす必要があります。
1.学業等に関わる基準
在学する学部等で上位2分の1の範囲に属すること、など
2.家計(所得・資産)に関わる基準
(所得)
収入基準は収入・所得に基づく課税基準額等により設定されています。世帯構成、各種保険料の支払い状況等によって異なりますが、目安はおおよそ下表のとおりです。
(資産額合計)
生計維持者(親)の人数が2人:2000万円未満
生計維持者(親)の人数が1人:1250万円未満
3.その他の基準
高等学校等を初めて卒業(修了)した日の属する年度の、翌年度の末日から大学等へ入学した日までの期間が2年を経過していない人、など
支給金額
世帯の所得金額に基づく区分 (第I~III区分)に応じて、学校の種別や通学形態等により定まる下表の金額(月額)が、原則として毎月振り込まれます。
自分の世帯の所得金額に基づく区分がわからない場合は、独立行政法人日本学生支援機構の進学資金のシミュレーター(※2)から、支給額を確認できます。
手続きに必要な書類等
<事由発生に関する証明書類>
新型コロナウイルス感染症に関わる影響による収入減少があった人を支援対象とした、国および地方公共団体が実施する「公的支援の受給証明書」。またはこれに類するものと認められる公的証明書(後日公表・2020年3月末現在)。
例えば、東京都港区では、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた個人向け貸付制度」があります。この制度を利用することができる人は、この貸付制度の契約書などが公的証明書になり得るのではないでしょうか。
こうした制度は、各自治体で行われていることが考えられますので、問い合わせをしてみるとよいでしょう。
<家計急変後の収入に関する書類>
事由発生後の所得を証明する書類(給与明細等)に加えて、下記資料の提出も必要です。
・進学資金シミュレーターの「給付奨学金シミュレーション(保護者の方向け)」を実施した結果の写し(コピー)。
このシミュレーションの各項目の入力は以下のとおりです。
家計急変の事由が生じた生計維持者の
給与収入:収入が減少した月(1ヶ月分)の給与収入を12倍したもの
給与・年金以外の所得:収入が減少した月(1ヶ月分)の給与・年金以外の所得(収入から経費を控除した額)を12倍したもの
社会保険料等:「収入等から算出する」を選択
シミュレーションの結果、対象外となる場合には、残念ながら支援を受けることはできませんが、もし対象となる人は、申請のタイミングを逃さないように、早めに書類を準備しておくとよいでしょう。
出典
(※1)文部科学省「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」
(※2)独立行政法人日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士