高等教育無償化で「給付型奨学金」の対象者が拡大!どんな家庭が対象?

配信日: 2019.09.04 更新日: 2019.11.12

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高等教育無償化で「給付型奨学金」の対象者が拡大!どんな家庭が対象?
2020年4月から、高等教育無償化がスタートします。無償化の中身は、新しい「給付型奨学金」と「授業料等減免」です。このうち、新しい「給付型奨学金」は、従来の「給付型奨学金」と比べ、どのように変わるのか、ポイントを解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

従来の「給付型奨学金」の概要

日本学生支援機構の奨学金には、返済が必要な「貸与型奨学金」と返済不要な「給付型奨学金」があります。「給付型奨学金」は、経済的理由で進学をあきらめないよう、平成29年度から先行実施、平成30年度から本格実施されています。
 
申し込みは、進学を後押しする目的のため「予約採用」(高校での申し込み)のみとなっています。
 
大学、短大、専門学校、高等専門学校(4年生)に進学する生徒で、「生活保護世帯」「住民税非課税世帯」「社会的養護を必要とする人(18歳時点で児童養護施設等に入所などしている生徒等)」のいずれかに該当する場合に申し込むことができます。
 
各高等学校等では、日本学生支援機構が提示する「ガイドライン」に基づき、推薦基準を策定します。高等学校等は、この推薦基準に基づいて選考を行い、給付奨学生にふさわしい人物を、推薦枠の範囲内で日本学生支援機構に推薦します。
 
推薦枠は、各高等学校等の第一種奨学金および第二種奨学金の新規貸与者のうち、非課税世帯相当と見込まれる者の過去実績数を基に、日本学生支援機構から配分されます。したがって、各高等学校等の推薦枠は数名程度と狭き門です。
 
全国では2万人程度です(平成30年度採用1万8646名)。なお、社会的養護を必要とする人については、推薦枠の範囲外で推薦されます。
 
給付月額は、国公立自宅通学生2万円、国公立自宅外通学生および私立自宅通学生3万円、私立自宅外通学生4万円です。ただし、国立で授業料の全額免除を受けている場合、給付月額が減額されます。社会的養護が必要な人には、別途、一時金として入学時に24万円が支給されます。
 
「給付型奨学金」で不足する分は、併せて第一種奨学金、第二種奨学金や入学時特別増額貸与奨学金の利用もできます。
 

新しい「給付型奨学金」の概要

2020年4月に進学する学生から、「給付型奨学金」の対象者が広がります。
 
住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯の生徒が対象です。4人世帯の場合、年収378万円以下が対象です。家族構成によって年収の目安は異なります。
 
日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」の「奨学金選択シミュレーション」を使って、年収を基に新しい「給付奨学金」の対象となるかどうか大まかに調べることができます。
 
学力に関しては、5段階評価で3.5以上、または、3.5以上ない生徒は、高校等で面談やレポートにより、学修意欲が確認できれば新制度の対象になります。
 
給付額は、住民税非課税世帯の場合、年額約35万円~約91万円です。住民税非課税世帯に準じる世帯では、この金額の1/3または2/3が支給されます。
 

 

新旧「給付型奨学金」の主な違い

すでに見てきたように、新しい「給付型奨学金」は対象者が広がりました。金額も大幅に増えました。また、推薦枠(人数の上限)もなくなりました。
 
一方、新しい「給付型奨学金」では、進学先の大学等は給付奨学金の対象校として国または自治体の確認を受けた大学等であることが必要です。仮に、在学している大学等が今回の新制度の対象とならなかった場合でも、従来の「給付型奨学金」は引き続き受けることができます。
 
収入要件の他に両者とも資産要件があります。生徒と生計維持者(家計支持者)2人の資産合計額が2000万円未満(生徒と生計維持者1人の場合は1250万円未満)が対象です。
 
申告が必要な資産とは、預貯金、有価証券、投資信託、現金、貴金属等(投資用資産)をいいます。
 
従来の「給付型奨学金」では、資産に関する証明書類の提出が必要でしたが、新しい「給付型奨学金」では、不要になりました。代わりに、虚偽申告がないことについて誓約書の提出が必要です。
 
「給付型奨学金」で不足する金額は、併せて第一種奨学金、第二種奨学金や入学時特別増額貸与奨学金の利用もできます。
 
しかし、新しい「給付型奨学金」では、第一種奨学金に関しては、利用できる上限額(最高月額)が減額されます。第一種奨学金の貸与上限額から、「授業料の上限減免額+給付型奨学金の支給額」を差し引いた分が利用できます。
 
(※)「負債がある場合には負債分を相殺した(差し引いた)金額を申告できます。」という文章が公開時(2019年9月4日時点)にございましたが、正しくは負債を差し引くことはできません。お詫びして訂正いたします。(最終更新:2019年11月12日)
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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