更新日: 2020.06.17 その他暮らし

今後のマイホームの購入。不動産価格はどうなる?

今後のマイホームの購入。不動産価格はどうなる?
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済活動が制約されています。観光業や外食産業などではすでに大きな影響が出ており、今年は景気が大幅に悪化することになりそうです。
 
景気が悪化すると、収入や雇用が不安定になる人も少なくありませんが、その心配がなく不動産購入を検討される方は、これからの不動産価格が下がるかもしれません。
村井英一

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

建築工事費の上昇が続いていた

ここ数年、景気の拡大とともに不動産価格が上昇していました。地価も少しずつ上昇が続いていましたが、それよりも建築工事費の上昇が大きく影響していました。折からの人手不足に、東京オリンピック関連の建築特需が加わったことで、人件費が上昇していました。
 
建築工事費が上昇すると、新築戸建ての価格も上昇しますが、それ以上にマンション価格に大きく影響します。マンションは、販売価格に占める建築費の割合が大きいからです。
 
首都圏で販売されるマンションの平均価格は、ここ5~6年で3割程度も上昇していました。低金利という好環境の下でも、マイホームを購入しづらい状況になりつつあったといえるかもしれません。
 
そこに起きたのが、新型コロナウイルスによる大きな景気後退です。東京オリンピックは1年後に延期されましたが、2020年の開催を見込んだ建築特需はおおむね終わっています。建築工事費は上昇が止まるだけでなく、今後は下落することも考えられます。
 
不動産の価格は、株価のように急激に大きく値下がりするわけではありませんが、それでもこれから購入を検討する人にとっては、不動産価格が下がる可能性があり動向が気になるところです。

景気悪化は、不動産価格が下がる可能性が

景気が悪化して収入や雇用が不安定になれば、不動産価格が多少下がったといっても、マイホームの購入には踏み切れません。しかし収入や雇用が安定している人にとっては、景気悪化は住宅購入のチャンスになるかもしれません。
 
まず、先に述べたように、不動産の販売価格が下がることが考えられます。少なくとも今までのような上昇は止まるでしょう。そして、景気が悪化すると金利が低下して、住宅ローンの金利も低くなります。
 
ただこの点でのメリットは、今回はあまり期待できません。ゼロ金利政策で金利はすでに最低の水準になっており、これ以上の低下は考えにくい状況です。
 
そして、これから期待されるのが、住宅購入のための優遇策の拡充です。景気が悪化すると、政府は景気回復のための施策を行います。住宅の投資は金額が大きく、景気に与える影響が大きいので、政府は積極的に住宅の購入を促進する可能性があります。
 
税制などで、住宅を購入する人に有利な制度を設け、その対象を広げるのです。景気が悪い時には早く住宅を購入してもらいたいので、期間限定で優遇制度を用意するかもしれません。また、数年ごとに優遇幅を小さくすることで、早期の購入を促すという可能性もあります。
 
そのまま景気が回復してくれたら優遇制度はなくなってしまうかもしれませんが、景気後退や消費税の引き上げなど、景気対策の必要が生じると再び優遇制度が拡充されたりします。近年の住宅購入をめぐる税制はこの繰り返しで、優遇枠が縮小したり、拡大したりしています。

優遇策の拡充へ方向転換が

折しも、今年から来年にかけて、住宅購入のための優遇制度が縮小し、廃止される予定になっていました。住宅ローンを組むと所得税が減税される住宅ローン減税は、消費税の引き上げで拡充された部分が今年の年末で終了し、来年の年末には制度そのものが廃止される予定でした。
 
親が住宅購入資金を援助した場合に贈与税をかけない非課税枠は、今年の4月にそれまでの2500万円から1000万円までに減額され、来年の年末にはこの制度が廃止になる予定です。このままでは、悪くなった景気をさらに冷やしかねません。
 
いまだ新型コロナウイルスの収束が見えず、住宅購入の優遇策までは具体的な内容が出てきていません。
 
しかし、優遇策を延期するだけでなく、さらに拡充する可能性もあると筆者は考えます。これから住宅を購入する場合は、これらの優遇策が出てきたら、それを有利に活用したいものです。
 
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト


 

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