沖縄県は他の都道府県からの転入者が多い?その転入超過状況とは

配信日: 2020.06.24

この記事は約 5 分で読めます。
沖縄県は他の都道府県からの転入者が多い?その転入超過状況とは
日本は人口が減少し始め、過疎化に悩んでいる地域もある一方で、人が増え続けている魅力的な地域もあります。日本のどこが魅力的なのかを知るには、人の動きを確認するとわかりやすいです。
 
そこで、統計データをもとに都道府県ごとの、人の転入出状況を確認してみました。今回はその中でも沖縄県の魅力を確認してみました。
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

沖縄県は数少ない転入超過県の1つ

人口は出生や死亡による自然増減と、人の移動による社会増減によって変化します。今回取り上げるのは社会増減のみですが、人の移動は人の意思によってすることから、地域ごとの人気の有無がよくわかります。
 
魅力のある(住みたい)地域は転入者が増えやすく、魅力のない(住みたくない)地域は流出者が増えやすくなるからです。
 
まずは総務省の住民基本台帳人口移動報告から、2019年の沖縄県内での移動者数、沖縄県への転入者数、沖縄県からの転出者数、転入超過数を確認してみました。
 
県内移動者……県内で市町村の境界を越えて住所を移した人
他都道府県からの転入者……他の都道府県から沖縄県内へ住所を移した人
他都道府県への転出者……沖縄県から他の都道府県へ住所を移した人
転入超過数……転入者数から転出者数を引いた数で転入超過数がマイナスは転出超過を示す
 


 
2019年の1年間に、沖縄県へは他の都道府県から2万8917人が転入しており、沖縄県内では4万6292人が県内の市町村から他の市町村へ移動しています。そして、他の都道府県へは2万8222人が転出していることで、沖縄県の1年間の転入超過数は695人となっています。
 
性別では、県内移動者数にはほとんど差はありませんが、転入者と転出者はどちらも男性のほうが多く、転入超過数も男性が多くなっています。沖縄県の転入超過数はわずか695人ですが、全国47都道府県のうち転入超過数がプラスの県は8都府県しかありません。
 
残りの39道府県はマイナスであり、例えば広島県は−8018人、長崎県は−7309人と大きく減っている県もある中で、沖縄県がプラスなのは、移動者にとってかなり魅力的な県といえます。

沖縄県は意外な都道府県からも人気がある

では、沖縄県が転入超過なのはどこが要因となっているからなのでしょうか? 沖縄県への転出超過数が特に多い都道府県と、少ない都道府県を探してみました。
 
沖縄県への転出超過数が多い都道府県・少ない都道府県


 
沖縄県の場合、東京都や大阪府と比べて人の移動者数は圧倒的に少ないですが、転入超過数を多い順に並べてみたら、まったく想定できなかった順番になりました。転入超過数が1番多いのは静岡県の188人です。
 
沖縄県から静岡県へ転出する人よりも、静岡県から沖縄県へ転入する人のほうが188人多いということです。2番目に多いのが長崎県、3番目に多いのが北海道です。沖縄県へ移住(転入)する理由はいろいろでしょうが、なぜこの3道県が並んだかは不思議です。
 
転入超過数がマイナス(転出超過)の1番は、東京都の−421人で、2番目は福岡県の−151人となっています。就職や進学で転出していったのでしょう。
 
移動者の数で見ると、沖縄県への転入者も、沖縄県からの転出者もともに東京都が最も多く、東京都から沖縄県へ転入してきた人が4845人、東京都へ転出していった人が5266人となっています。

沖縄県は年度替わりに大きな転出超過を繰り返している

最後に沖縄県の転出入状況を、月ごとに15年間(180ヶ月)調べてグラフにしてみました。1つ目のグラフが直近の2015年4月からの5年間(60ヶ月)、2つ目はその前の2010年4月からの5年間、3つ目はさらに前の2005年4月からの5年間です。
 


資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
沖縄県は毎年3月4月に転入超過数が大きくマイナス(転出超過)になっています。2018年の3月は−2354人で、15年間で最も転出超過数が多い月です。この時期に多いということは、やはり就職や進学で転入者を大きく上回る転出者がいるのでしょう。
 
しかし、その他の月はほとんどが転入超過となっています。以前、大阪府のグラフを作成しましたが、見事に真逆の動きをしています。
 

資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
2011年は4月も転入超過であったことから、1年間で転入超過数が3147人を記録しています。
 

資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
2005年から2010年頃は沖縄県にとっては厳しい時期で、転入超過数がマイナスになる年が続いています。特に2008年は転入超過数が−3220人と大きく、2011年とはかなり状況が異なっています。
 
ちなみに2008年はリーマンショックが起きており、翌2009年には民主党へ政権交代する等、日本の国自体も大変な時代でした。
 
15年間(180ヶ月)では、沖縄県は転入超過数が−2361人でわずかに減っています。しかし月ごとに見れば、180ヶ月のうち転入超過数がマイナスの月は46ヶ月しかありません。
 
3月と4月を除けば、150ヶ月のうちマイナスの月はわずか18ヶ月しかありません。それでも15年間で見ればマイナスになってしまうのは、3月と4月の転出者が非常に多いからといえます。
 
沖縄県は多くの人を引き付ける魅力は十分にあるので、やはり就職先や転職・転勤先、進学先の増加が大きな課題といえそうです。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者


 

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集