更新日: 2020.10.08 その他暮らし

口座を持つとお金がかかる時代に? 休眠預金がある方はチェックしてみよう!

執筆者 : 遠藤功二

口座を持つとお金がかかる時代に? 休眠預金がある方はチェックしてみよう!
2020年8月、みずほ銀行は2021年1月18日以降に新規開設した口座に対して、紙の通帳の発行時に1100円(税込み)の手数料がかかるようにするという発表をしました。
 
近年、さまざまな分野でペーパーレス化が進んでいますが、紙の通帳を有料にするというニュースには驚かれた方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、みずほ銀行の例などを参考にしながら銀行業界の現状を鑑みて、口座保有者が今後気をつけておくべき点を解説します。
遠藤功二

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

みずほe-口座の保有者は通帳発行が有料化される

今回の改定によって、みずほ銀行の全ての顧客の通帳発行が有料化されるわけではありません。2021年1月17日以前に開設した口座や、通帳発行・繰越時に70歳以上の方には手数料はかかりません。
 
2021年1月18日にスタートする「みずほe-口座」を新規で開設した方には、紙の通帳は原則発行されず、代わりに最大10年分の取引明細をオンラインで確認できる「ダイレクト通帳」が提供されます。なお、みずほe-口座の保有者が紙の通帳の発行を希望した場合、新規発行時だけでなく、繰越時にも1100円の手数料が発生します。
 
「自分はみずほ銀行にすでに口座があるから関係ない」と油断してはいけません。みずほ銀行によると、既存の口座でも毎年1月末時点で1年以上通帳への記帳をしていない場合は、自動的にみずほe-口座に切り替えるとされています。最近通帳の記帳に行っていないという方で、紙の通帳を今後も希望される方は気をつけましょう。

みずほ銀行以外の銀行の動き

今後、他の大手都市銀行も通帳の有料化に動いても不思議はありません。三菱UFJ銀行では、すでに紙の通帳の代わりに過去10年分(最長)の入出金明細がスマホやパソコンで閲覧できる「Eco通帳」というサービスを提供しています。
 
また、三井住友銀行の通帳不発行型サービス「Web通帳」では、2019年10月以降の入出金明細をSMBCダイレクト(オンラインサービス)で最大30年間照会可能にする予定です。これから三井住友銀行で口座を開設される方は、Web通帳を選ぶ方も多いのではないでしょうか。
 
このように、他の大手都市銀行も通帳のペーパーレス化を推進していることは明らかです。

休眠預金の確認を

2018年に休眠預金等活用法が施行され、2009年1月1日以降の取引から10年以上、入出金などの異動がない預金等(休眠預金等)は、預金者に通知を試みた上で預金保険機構に移管されるかたちになりました。
 
預金保険機構に移管された休眠預金等は民間公益活動の促進に活用されることになりますが、移管が行われた後も、預金者はいつでも預金等があった金融機関に休眠預金等の払い戻しを申請できます。
 
低金利の近年において、休眠預金の管理や手続きは銀行にとっても負担といわざるを得ません。今後は銀行預金に、口座維持手数料が付加されるようなことも想定しておいた方が良いかもしれません。

海外にも休眠預金の移管制度や口座維持手数料がある

例えば、オーストラリアのANZ Bank(オーストラリア・ニュージーランド銀行)では、毎月5豪ドル程度の口座維持手数料がかかる預金があります。また、オーストラリアの銀行では、7年間口座に稼働がないと政府系の基金に預金が移管されるルールになっているほか、原則通帳もありません。
 
オーストラリアを例に日本の銀行業界の今後を考えると、通帳のペーパーレス化の動きや休眠預金の制度は自然な流れに感じられるのではないでしょうか。

まとめ

預金通帳はデジタル機器が苦手な高齢者にとっては資金を管理する上で欠かせません。ゆえに、みずほ銀行の決定は高齢の利用者も含めて通帳のペーパーレス化を一気に進めてしまおうというものではありませんでした。
 
しかし、10年後、20年後を見据えた場合、紙の通帳が存在しなくなる可能性は否定できません。今後は、デジタル時代に適合した資産の管理の方法をしっかり身に付けていく必要があります。
 
参考
みずほ銀行 ecoで便利な生活を始めよう!みずほ銀行の通帳レス
みずほ銀行 「通帳レス」・「印鑑レス」・「ペーパレス」を軸とした「デジタル・リモートサービス」の拡充および手数料改定について
三菱UFJ銀行 Eco通帳(インターネット通帳)
三井住友銀行 Web通帳
ANZ ANZ Access Advantage
ANZ ANZ PERSONAL BANKING
moneysmart.gov.au Find unclaimed money
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)