更新日: 2021.01.13 子育て

ひとり親世帯の児童扶養手当、手当額はいくら?対象者は?

執筆者 : 林智慮

ひとり親世帯の児童扶養手当、手当額はいくら?対象者は?
かつて、結婚後の離別・死別による寡婦の場合は、寡婦控除や国民年金保険料の申請全額免除を受けられるのに、未婚のひとり親は受けられませんでした。
 
しかし、令和2年の税制改正で、未婚の母も「ひとり親控除」として所得控除が受けられるようになりました。また、それに伴う地方税法改正により、国民年金保険料の申請全額免除を受けられるようになります(令和3年4月施行)。
 
他に、ひとり親世帯はどんな支援を受けられるでしょうか。子を持つ世帯には児童手当(15歳到達後最初の3月31日まで)が支給されますが、ひとり親世帯には、それに加えて児童扶養手当(18歳到達後最初3月31日まで)の支給があります。
 
ここでは、ひとり親世帯の児童扶養手当について解説します。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

児童扶養手当とは

児童扶養手当とは、ひとり親等の生活の安定と自立を助け、児童の心身の健やかな成長のために支給される手当です。
 
児童扶養手当を受けることができる人は、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで(心身に障害を負っている場合は20歳未満まで)の児童を監護している父または母、父母が監護しない場合に父母に代わってその児童を扶養している人で、以下の条件の当てはまる人です(国籍は問いません)。

1.父母が離婚した後、父または母と生計を同じくしていない児童
2.父または母が死亡した児童
3.父または母が重度の障害(国民年金の障害等級1級程度)の状態にある児童
4.父または母の生死が明らかでない児童
5.父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
6.父または母が裁判所からのDV保護命令を受けている児童
7.父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
8.母が婚姻によらないで懐胎した児童

ただし、児童が次の状態にある場合は受給できません。
 
・日本に住所がない
・児童入所施設、または里親に委託されている
・父または母の配偶者(内縁も含む)に養育されているとき(父または母に重度の障害がある場合を除きます)

 
また、受給者の住所が日本国内にない場合も受給できません。
 

手当額はいくら?

児童扶養手当の手当額(月額)は、令和2年4月現在、以下のとおりです。
 

■1人目
全部支給=4万3160円
一部支給=4万3150円~1万180円

 

■2人目
全部支給=1万190円
一部支給=1万180円~5100円

 

■3人目以降
全部支給=6110円
一部支給6100円~3060円

 
ただし、受給資格者、受給資格者と生計を同一にする民法上の扶養義務者について、それぞれ全部支給・一部支給の対象になるには所得制限があります。
 
児童扶養手当の月額は、受給資格者の前年の所得により支給制限されます。養育費は、8割を所得として、翌年の児童扶養手当の算定所得に加算されます。扶養親族の数等により、所得制限の額が異なります。
 
扶養する児童等の数が1人の場合、前年の所得が87万円、1人増えるごとに38万円ずつ上限が上がっていき、5人の場合、239万円が上限です。
 
ところで、死別で遺族年金を受け取っている場合、ひとり親が障害を負って障害年金を受け取れる場合等、公的年金と児童扶養手当の両方受け取る権利がある場合は注意が必要です。
 

公的年金受給者が児童扶養手当を受け取る場合

かつては、児童を監護している父または母、養育している祖父母が、公的年金(遺族年金、障害年金、老齢年金、遺族補償など)を受給している場合、児童扶養手当を受給できませんでした。平成26年12月1日より、年金額が児童扶養手当額より低い方は、児童扶養手当等との差額分を受給できます。
 
しかし、障害基礎年金等の場合、子の加算を含む障害基礎年金全体の月額と児童扶養手当の月額を比較すると、児童扶養手当の月額が低くなってしまい、手当を受け取ることができませんでした。
 
そのため、障害基礎年金等の受給者の場合は、障害基礎年金全体ではなく子の加算部分の月額を児童扶養手当の月額と比較し、差額を受給できるように改正されました。令和3年3月分の手当から適用されます。
 
公的年金受給者が児童扶養手当を併給する場合の支給制限は、非課税以外の所得で算定しますが、令和3年3月分以降、障害基礎年金等を受給している人が児童扶養手当の受給資格者の支給制限を算定する場合は、非課税公的年金給付等も所得として含みます(非課税公的年金とは、障害年金、遺族年金、労災年金、遺族補填などを言います)。
 
児童扶養手当を受給されている方が公的年金を新たに受け取る場合、速やかに、お住まいの市区町村へ問い合わせましょう。公的年金が過去にさかのぼって給付される場合や、市区町村への手続きが遅れた場合は、過去に受け取った児童扶養手当を返還する必要が出てきます。手続きは早めにしましょう(令和2年12月20日現在の情報です)。
 

(参考・引用)
厚生労働省
「ひとり親家庭等の支援について」
「児童扶養手当について」
「令和3年3月分(令和3年5月支払い)から手当額の算出方法と支給制限に関する所得の算定方法が変更されます。」
「ひとり親のご家庭へ 「児童扶養手当」についての大切なお知らせ」
岐阜市「岐阜市ひとり親家庭等臨時特別応援金のご案内」
岐阜市「児童扶養手当」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

 

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