児童手当を生活費にあてているけれど、教育費として貯金しないとマズいですよね?

配信日: 2021.06.16

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児童手当を生活費にあてているけれど、教育費として貯金しないとマズいですよね?
中学生以下の子を持つ保護者には、児童手当が支給されています。児童手当は子どもの健やかな成長のために支給されるものですが、ご家庭によっては子どものために使っていないこともあるでしょう。
 
今回、児童手当を生活費にあてているYさんから、児童手当の使い方についてご相談をいただきました。

前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

児童手当を子どものために使っている割合は7割

児童手当等の使途に関する調査(*1)によると、約7割の人が児童手当を子どものために使っているようです。「子どものため」とは、現在の教育費、将来のための貯蓄・保険料、子どもの生活費やお小遣いをいいます。
 
なかでも、子どもの将来のための貯蓄・保険料の割合が約半数を占めています。一方、今回のYさんのように、子どもに限定しない生活費にあてている割合は、約1割です。
 
Yさんは、児童手当を将来の教育費として貯金しないといけないと思っているようですが、支給された児童手当を生活費にあてていたとしても、別途、子どものために貯金していれば問題ありません。大切なのは、子どもが独立するまで子どもを育てる費用を親として準備できるかどうかです。そこで、Yさんの家計状況を伺いました。
 

毎月貯蓄ができずボーナスで貯金という現状

以下は、Yさんの家族構成で5人家族です。
 

夫:年収500万円
妻:パート年収100万円
子:小学生2人、幼稚園児1人

 
夫婦の手取り月収は合わせて38万円、大きな支出は住宅ローン12万円、食費7万円、生命保険料5万円、教育費4万円などです。毎月児童手当を生活費にあてて、ようやく赤字が消えるといいます。しかし、よくお話を聞いてみると、何に使っているか分からない使途不明金も月数万円あることが分かりました。
 
さらに、保険料5万円のうち3万円は、子どもの学資保険とのこと。3人の子どもに1人1万円ずつ学資保険に加入しています。
 
Yさんは、現在、児童手当を3人分、月に計3万5000円支給されていますから、見方を変えれば、3万円分の児童手当は将来の教育費として学資保険にあてられているといえます。生活費にあててしまっているからまずいと思う必要はありません。ただ、問題はその学資保険だけで、将来教育費が足りるかどうかということです。
 

教育費の目標額を定めよう

お子さまの学資保険の保険金額は1人約200万円です。これは、大学進学用に準備しているとのことでしたが、学費が比較的安い国立大学でも4年間の授業料と入学金合計で約260万円はかかります。しかし、大学在学中にかかるお金は授業料だけではありません。定期代や教科書代、パソコン代など、国立大学在学中にかかるお金は約500万円という調査結果(*2)もあります。
 
また、私立大学だと文系でも授業料と入学金だけで約500万円はみておく必要があるでしょう。そう考えると、現在の準備額の倍はほしいところです。
 
つまり、積立額も今の倍必要です。児童手当を積み立てられると、ちょうど今の倍の金額になりますから、結局Yさんの場合は、児童手当で支給されている3万5000円を将来の教育費に積み立てる必要があるということです。
 
そうなると、現在の支出を3万5000円減らさないといけないわけですが、まずは児童手当が振り込まれる口座を現在の生活口座から変更する、つみたてNISAを初めて自動引き落としされるようにするなど、別管理をして、お金が消えない仕組みを作ることが必要です。
 
支出を減らす対策については、カツカツと思っていたようですが、携帯代の見直しができそうですし、使途不明金も数万円あります。将来の必要資金を意識することで、ふだんの買い物が変化するのではないでしょうか。
 
Yさんは、児童手当を生活費にあててしまっていることに後ろめたさを感じ、相談いただきましたが、問題は必要資金額を貯められる計画をしていなかったことです。各家庭、将来の必要資金は違いますから、いくら準備すべきなのか、早いうちから考えてみてください。
 
(*1)内閣府「児童手当等の使途に関する意識調査報告書
(*2)日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(2020年10月30日発表)
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

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