更新日: 2021.08.10 子育て

教育無償化、親の収入制限はそれぞれいくら?

執筆者 : 新井智美

教育無償化、親の収入制限はそれぞれいくら?
2020年4月より導入された「高等教育の就学支援制度」。
 
住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生が対象となり、認められると授業料や入学金の免除や減額を受けることができるほか、給付型奨学金も支給されることから、就学に関して手厚い補助を受けることができます。
 
この教育無償化を受けるためには世帯の収入制限の要件を満たす必要がありますが、その内容はどのようなものなのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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高等教育の修学支援新制度の概要

国が認めた一定の要件を満たす「大学」「短期大学」「高等専門学校(4年・5年)、「専門学校」に進学する高校生および在学中の大学生に対し、授業料・入学金の減免のほか給付型の奨学金を受けることができる制度です。
 
この制度は、大学等における修学の支援に関する法律として2019年5月10日に成立し、2020年4月より実施されています。
 
(出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」(※1))
 

どのくらいの額が支給される?

この制度を利用することで、どのくらいの額が支給されることになるのでしょうか。
 

■授業料減免の上限額(年額)

この制度の利用対象者となった際には、以下の上限まで授業料減免を受けることができます。内容は入学金と授業料、そして対象となる学校や昼間か夜間か、また通信課程かによって異なります。
 


 
ただし、入学後3ヶ月経過後に申し込みをした人は「入学金」の免除・減額は受けられないことに注意が必要です。
 

■給付型奨学金の給付額(月額)

この制度では、併せて給付型奨学金を受け取ることもできます。その額は以下のとおりとなっています。
 


 
(出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(※2))
 

親の収入制限はいくら?

この制度を利用するためには、親の収入要件を満たす必要があります。原則として住民税非課税世帯、もしくはそれに準ずる世帯となっており、具体的な金額は以下のとおりです。また、収入によって支給される額が3分の2もしくは3分の1となる点にも注意が必要です。
 

■具体的な支給額と親の収入との関係

世帯収入と新制度の給付額については、両親と本人(18歳)、そして中学生(15歳)の家族4人世帯の場合でみると、年収約270万円までであれば授業料等の減免および給付型奨学金を上限まで受けることができます。
 
ただし、それ以上の住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合、年収が約300万円までであれば、授業料等の減免および給付型奨学金を上限の3分の2、年収が約300万円から380万円までであれば3分の1まで受けることができます。
 
以下は両親・本人(18歳)・中学生(15歳)の家族4人世帯の場合の目安です(本人の年齢や家族構成等によって、目安年収は異なる)。
 


 
(引用:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(※2))
 

支援を受けるための手続き

この制度を利用する際には、以下の手続きを行う必要があります。


1.高校3年生の4月までに、通っている高校から申し込みに必要な書類を受領し、インターネットで日本学生支援機構に申し込みます。
 
2.高校3年生の秋ごろに日本学生支援機構より選考結果が高校などを通じて本人に通知されます。
 
3.大学などの進学先の入学時に採用候補者決定通知を提出するとともに、日本学生支援機構に進学届を提出します。同時に授業料等減免の申請を進学先に対して行います。
 
4.給付型の奨学金については、4月もしくは5月から本人の口座に振り込まれます。授業料等の減額・減免については、進学先にて手続きを行います。手続きは進学先によって異なることから、事前に確認しておくようにしましょう。

(出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(※2)」)
 

まとめ

今回の新制度により、授業料等減免制度が創設され、さらに給付型の奨学金の支給額が拡大されたことは、経済的な問題で進学を断念することなく学業に打ち込める環境が整備されたといえます。
 
また、高校を卒業して2年までであれば申し込むことも可能ですので、浪人生でも申し込めるチャンスはあります。ただし、支援を受けた後、在学中に毎年状況確認が行われ、学業が不振であったり学習意欲が低いと判断されたりした場合は、支援が打ち切られることもあります。
 
制度の利用が認められた際には、学業に専念することを忘れないようしましょう。
 
出典
(※1)文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」
(※2)文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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