夢のマイホームが悪夢の“負”動産に! 離婚時の財産分与でもめる家

配信日: 2021.03.09

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夢のマイホームが悪夢の“負”動産に! 離婚時の財産分与でもめる家
夫婦問題ではよくあることですが、夢のマイホームを手に入れたとたんに夫婦問題が表面化し、離婚をすることになるカップルが実に多いのです。ついこの間まで、自宅の計画・家具選び・引っ越し作業に事務手続きで大変だったのに。ひと段落してほっとしたのもつかの間、今度は夫婦問題の悩みが始まります。
 
忙しさも、楽しかった数年の家計の苦労も、泡のように消えてしまいます。この「負動産」処分のハードルはとても高く、ひと筋縄ではいかないことがほとんどなのです。
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

離婚後自宅はどうするのか?

相続による財産分与でも、物理的に分けることがしづらい不動産でもめることは多く、離婚も同様のことがいえます。理想的なのは、売却をしてお金を分けること。しかし、そう簡単にはいかないので悩む方も多いのです。その理由の1つに、子どもの通学問題があります。自宅を購入する際の決め手に、「子どもの通学に便利な場所」を挙げる親御さんはとても多いのですが、離婚時にはそれがネックになってしまいます。
 
また、思春期の子どもは、ただでさえ離婚により、別居親と離ればなれに暮らさないといけないのですから「せめて友だちとは離ればなれにさせたくない」と願うのが親心でしょう。そうすると必然的に母子が自宅に、夫は小さな部屋へ引っ越すこととなります。
 
厚生労働省の人口動態統計によると、2019年度離婚し、20歳未満の子どものいるカップルにおいて、母親が親権をもつケースは84%でした。親権と同居は別問題ですが、母親と一緒に暮らすケースはこの数字同様に考えて良いかと思います。
 

夫のむなしさはエスカレートするばかり

小さな子どもがいる場合、すぐに離婚とはならないケースも多いことでしょう。別居時はなおさら夫が出ていくケースが多くなります。しかし、小さな子どもがいるイコール、ローンをまだ支払っているもの。そうすると「ローン支払い+夫の家賃」で二重支出となってしまいます。
 
そもそも、給与の低い人にはできない方法なので、この「二重支払い」ができること自体、ある程度の世帯収入がある家庭になるのですが、支払いができるといっても「無駄」な支出であることは変わりません。
 
しかし、離婚をすることは簡単ではなく、中にはこの別居生活の上にあぐらをかいてしまう妻もいます。うるさい夫はいない、夫がいないスペースでより広々と家を使うことはできる、生活費は支払ってもらえる。一石二鳥以上のベネフィットを感じている場合もあるのです。
 
そうすると、たまったものでないのは夫でしょう。いくら高収入といえども、大きな部屋に住めるほどの家賃も払えるのは、ごくわずかな人。多くの方は、大学生の時に住んでいたワンルーム程度のマンションかアパート暮らしを余儀なくされています。
 
中には、法人の代表で23区内の一等地に住んでいた夫が自宅を出て、都外のアパートに暮らしているケースもあります。ストレスフルに働き、近所の定食屋かお弁当を片手に帰宅。食後、そして風呂を沸かすという毎日。翌日も簡単な食事で済ませた生活をしているのです。何より、かわいい子どもに簡単に会えないのですから、頑張る気力も湧きません。働き盛りの男性にとっては「むなしい」気持ちに歯止めはかかりません。
 

金銭的に売却できなことも

夫婦の意志が「売却」でも売れないこともあります。それは「オーバーローン」のケースです。ここでのオーバーローンとは「売却金額<ローン残高」のこと。要は、売却しても借金が残ってしまうケースとなります。私も年間2〜3ケースは、不動産業者と一緒に離婚不動産の対応をさせていただくのですが、容易ではありません。
 
このケースにおいては、差額(ローン残高-売却金額)を、夫婦の資産でまかなえば良いのですが、難しいことです。まず、自宅購入後即離婚になった場合、すでに預貯金は、不動産購入の頭金や諸経費、家具の購入費に充ててしまっています。
 
次にお願いするのは親や家族親戚です。しかし、老後資金不足が問題になっている今、援助を簡単にできる人も少ないと思います。この対処方法はいくつかあるのですが、個別事情が多様化しているので、今回は割愛します。
 
まずは専門家に相談をするのが無難です。大手の不動産業者では、なかなか対応してくれないので、根気強く、信用できるサポーターをみつけてください。
 

ペアローンの大きな落とし穴

それにしても、そう簡単に自宅を手放してまで離婚をしてしまう背景とは、どこにあるのでしょうか? そこには共働きというスタイルがあるのではないでしょうか。ペアローンで1つの物件に対して、夫婦それぞれが住宅ローンを組むため、融資枠が増えます。それにより、予算の大きな物件を購入することができるのです。
 
自宅を購入するまでに、協力や話し合い、苦労が少ないため、一度亀裂の入った夫婦問題を修復する努力をすることもなく、夫婦関係にピリオドを打ってしまう。共同で「債務」を負うほどの、信頼関係がなかったにも関わらず、夫婦というだけでペアローンを組んでしまう恐ろしさが潜んでいます。
 
言い過ぎかもしれませんが、筆者はコロナ離婚も似ていると思います。2020年初頭までは、夫婦といえども共働きで、夜夕食時間帯と休日のみの関係が、四六時中密になることで負担となり、ヒビが入った夫婦も数多くいらっしゃいました。
 
共働きは、依存関係は薄いのですが、協力したり頼ったりすることも少なく、やや利己的な関係になっているのかもしれません。本来夫婦は「密」な関係で良いはずなのに。
 
離婚は事前に防げるものではありません。しかし、大きな買い物をし、別居や離婚と同時に自宅を失う前に、「この人と一緒に買っても大丈夫なのか」を厳しく見つめ、考えてみていただきたいと思います。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
 

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