更新日: 2021.03.18 その他暮らし

浪人しても給付型奨学金は受けられるの?

執筆者 : 三藤桂子

浪人しても給付型奨学金は受けられるの?
2020年4月より新しい修学支援制度がスタートしました。授業料等の免除・減額と給付型奨学金です。独立行政法人日本学生支援機構では、学びたい学生を応援するため、経済的な理由で学び続けることを諦めずにすむよう、授業料等の減免と給付型奨学金により、意欲のある学生の学びを支えてくれます。
 
ご相談者Aさん(19歳)は高校生の時、希望する大学に合格できなかったため、親を説得し浪人させてもらいました。1年後、晴れて希望の大学に合格できました。Aさんは1年遅れたこともあり、少しでも親に負担をかけないようにと、奨学金を希望しています。奨学金のことを調べるうちに、返済不要の給付型奨学金があることを知りました。
 
しかし、Aさんの高校時代の成績(内申点)はあまり良いとはいえませんでした。給付型奨学金の支援が受けられるか心配しています。
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

給付型奨学金とは

経済的に困難な学生を支援する給付型奨学金の支援の対象者は、「世帯収入や資産の要件を満たしていること」「学ぶ意欲がある学生であること」の2つの要件を満たす学生とされています。高校在学中に申し込まなかった人や、すでに大学在学中の人も申し込むことができます。
 
4月に入学するとすぐに大学等の学校にて奨学金(貸与型、給付型)の説明会があります(在学採用)。説明会には必ず出席しましょう。なお新型コロナウイルス感染拡大の影響により、説明会の開催方法等は変更することがあります。学校からのお知らせは漏れなく確認しましょう。
 

学ぶ意欲がある学生の判断

独立行政法人日本学生支援機構では、大学入学後に給付型奨学金を希望する学業基準を次のように定めています。
 

 
給付型奨学金は成績しだいでは廃止となることもあります。その際は年度の4月にさかのぼって返還することにもなるので、給付を受けた場合、1年間学業に取り組むことが必要です。
 

判断基準は「学力」と「家計」の両方で判断される

奨学金の採用選考は「学力」と「家計」の両方の基準で判断されます。家計について、支援を受けられる年収の目安と支援額は次のとおりです。
 

※上記の目安は、両親、本人が18歳、中学生が15歳の家族4人世帯の場合です。実際には、基準を満たす世帯年収は家族構成や構成員の年齢等により異なります。
出所:独立行政法人日本学生支援機構より筆者作成
 

学修計画書作成し申し込み

高校時の評定平均値の基準を満たしていないAさんは、とにかくやるだけやってみようと学校の説明会に参加し、学修計画書を作成することにしました。学修計画書には、学修の目的と目的実現のために、何をどのように学びたいと考えているかなどを記述します。さらに卒業までに学びを継続し、全うしようとする意思確認と、どのような姿勢で取り組もうと考えているか記述します。
 
学校説明に出席し、学校に必要書類を提出したあと、インターネットで独立行政法人日本学生支援機構に申し込みます。「学力」と「家計」両方をもとに学内選考を経て推薦決定されます。学校推薦を受けた人は日本学生支援機構での選考を経て、採用決定されます。Aさんは選考の結果、「学力」と「家計」とも基準をクリアし、支援を受けることができました。
 

まとめ

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた年でした。2020年度に入学した大学生の多くは、授業がオンラインになり、一度も学校に行くことなく1学年が終わる人や下宿している学生でアルバイト先が見つからないと、下宿生活を送ることも難しくなって不安な生活を送っている人もいます。
 
奨学金は学生のセーフティーネットともいえます。特に給付型奨学金について知らない人や、自分は受けられないとはじめから諦めている人もいます。コロナ禍で家計に変化が生じた場合でも、奨学金を利用することで学生生活を諦めないよう、希望を持ってほしいです。
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
 

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