更新日: 2021.04.21 子育て

続くコロナ禍、「みな風子ども食堂」ではどのようなサポートが受けられる?

執筆者 : 前田菜緒

続くコロナ禍、「みな風子ども食堂」ではどのようなサポートが受けられる?
飲食店がコロナの影響で営業自粛や時間短縮など余儀なくされるなか、子ども食堂も同様にコロナの影響を受けています。コロナ禍で、子ども食堂はどのように運営されているのでしょうか。
 
今回は、山田ちづ子さんが運営する、さいたま市の「みな風こども食堂」の活動を紹介します。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

コロナ禍でスタートした子ども食堂

コロナで活動休止する子ども食堂が多いなか、「みな風こども食堂」は、コロナが広まりだしてから始まった食堂です。もともと、運営者の山田さんは沖縄料理のお店を経営していました。コロナで休業せざるをえなくなり、以前からやってみたいと思っていた子ども食堂を、自分のお店を利用し、2020年7月からお弁当配布というかたちでスタートさせました。
 
コロナ禍にもかかわらず子ども食堂を始めようと思ったのは、コロナになって大変なのは子どもたちであるとの考えからです。コロナによって多くの制限を受け、我慢している子どもたちが気にかかり、子ども食堂を始めたといいます。
 
当初30食だったお弁当は現在90食ほどまで増えています。不登校の子や親からDVを受けている子が集まる支援センターにもお弁当を届けたり、一方、お弁当配布だけにとどまらず、子ども祭りを開催するなど、「みな風こども食堂」では、子どもが楽しめる場の提供もしています。
 

子ども食堂に現れたお米がない親子

2021年の春休みに、山田さんのもとに、突然ある親子がやってきました。そのお母さんは「春休みで給食がなくおなかをすかせています。家にはお米が1粒もありません」といいます。子ども食堂を開催していない日だったため、山田さんは、お米や乾麺など詰め合わせて渡したそうです。
 
学校が長期休暇に入り、給食がないからご飯を食べられない子どもは、決して珍しくありません。これは筆者の想像ですが、就学援助を受けている家庭だと、学校が休みに入ると十分にご飯を食べられなくなるのかもしれません。
 
小中学校では、経済的理由で就学が困難な生徒に、学用品費や給食費を援助する就学援助制度があります。認定基準は市区町村によって異なりますが、就学援助を受けると給食費の支払いも不要です。学校がある日は給食を食べられますが、学校が休みの日は給食がないため、自分でご飯を買うお金がなく、おなかをすかせてしまうのではないでしょうか。
 
就学援助の対象者は、2019年度、全国で約130万人ですから、このような親子は珍しくないでしょう。
 

子ども食堂の運営状況

「みな風こども食堂」の運営状況は厳しいと山田さんはいいます。子ども食堂のネットワークに、寄付された食材が集まるので、ネットワークから食材をもらえることはありますが、欲しい食材が毎回手に入るわけではありません。食材が寄付されたタイミングと子ども食堂開催日のタイミングが合わないと、その食材を使うことはできません。手に入らない時は、山田さん自身が自腹で食材を購入することもあるそうです。
 
とはいえ、山田さんの沖縄料理店の売り上げはコロナで激減。数ヶ月休業せざるを得なかった時期もあり、お話を聞くかぎりでは、山田さん自身にも余裕があるようには思えません。
 
また、「みな風子ども食堂」の収入の1つに、大人のお弁当代があります。「みな風こども食堂」では、子どものお弁当は無料ですが、大人は500円です。例えば、子どもが3人いるひとり親の場合、子どもと親の分、合計4つのお弁当を実質500円で購入することになります。
 
十分低価格ですが、最近は子どもの分のお弁当だけもらって、大人の分はいりませんと、大人の分を買わない親も増えてきたといいます。お客さんの中にはコロナで失業した、給料が半分に減った人もいますから、500円の出費も厳しいということでしょうか。大人のお弁当代の収入が減り、食堂運営の今後の課題でもあるようです。
 
一方、山田さんの沖縄料理店に募金箱を置いているので、募金をしてくれるお店のお客さんもいます。その他、チャリティーバザーで収入を得たり 今後はクラウドファンディングを検討したりしているようですが、続けていくには継続的な資金援助が欠かせません。
 
筆者としては、山田さんの懐事情も心配ですが、山田さんはこれからも子どもたちにお弁当を届けるために、子ども食堂を続ける方法を考えていきたいといいます。
 
取材を通じて、山田さん自身も厳しい状況のなか子ども食堂を続けているのは、子どもと関わり、健やかに成長できる環境を届けたい、そのような子どもへの熱い思いがあるからだと、山田さんの強い使命感を感じました。
 

 
お弁当を作っている様子(山田さんの沖縄料理店「ギャラリー南風」店内にて)
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

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