更新日: 2021.06.29 その他暮らし
長期化する新型コロナ感染症問題。現在利用可能な事業者向け支援金は?
それに伴う感染拡大防止対策としての経済活動自粛要請も繰り返し実施され、多くの事業者や個人が苦境に立たされており、早期にワクチン接種を国民全体が受けられることを願うばかりです。
今回は、現在利用可能な事業者向けの経済支援策を紹介します。
※この記事は2021年6月8日時点の情報を基に執筆しています。
執筆者:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士
早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。
ライフプラン、年金、高齢者向け施策、海外在住日本人向け支援(国内行政手続、日本の老親のケア、帰国時サポートなど)を中心に代行・相談サービスを提供中。
企業向けコンサルティング(起業、働き方改革、コロナ緊急事態の助成金等支援)の実施。
国内外に多数実績をもつ。
・コロナ対策助成金支援サイト
・海外在住日本人向け支援サイト
・障害年金支援サイト
経営が厳しい事業者への支援策
経済支援策については、使途に制限のない現金支給である「給付金」や、従業員の雇用維持、経営力維持のための費用支出を補てんするための「助成金」、「融資」があります。代表的なものとして2020年に実施された「持続化給付金」や「家賃支援給付金」、「雇用調整助成金」が記憶に新しいことでしょう。
その後も感染者数の増加に伴い、飲食店や接客業に対する営業自粛(休業、時間短縮措置)が要請されていますが、こうした事業者や関係者に対し、都道府県から給付金として「感染拡大防止協力金」、国(経済産業省)から「一時支援金」「月次支援金」、助成金として国(厚生労働省)から「雇用調整助成金」(2020年より継続給付)が給付されています。
飲食店などに対する感染拡大防止協力金
2020年12月からの飲食店に対する夜間営業時間の短縮要請については、給付金と同じ性格を持つ「感染拡大防止協力金」(名称は地域によって異なる)が対象地域の各都道府県から支給されています。
例えば東京都の場合、アルコールの提供を伴う飲食店が休業または夜間の営業時間短縮に応じた場合、休業協力金として1日当たり4万円~6万円が支給されています。店舗の規模にかかわらず一律の給付ということで、規模の大きな店舗を持つ事業者からは不公平感に対する苦情も出ているようですが、多くの事業者がこれによって救われています。
申請要件として「感染防止徹底宣言ステッカー」の掲示などがあり、条件を満たしていない場合はさかのぼって申請することはできませんが、さらなる自粛要請の延長の可能性もあることから、まだ何もしていない事業者は今からでも遅くはないので申請手続きのための準備をおすすめします。詳細は各都道府県の「感染拡大防止協力金」担当部門にご確認ください。
飲食店取引業者や接客業向けの「一時支援金」「月次支援金」
その他、飲食店以外の事業者(法人、個人事業者)の中で緊急事態措置、まん延防止等重点措置により売り上げが減少した事業者に支給される「一時支援金」「月次支援金」があります。こちらも給付金なので使途は自由です。2020年の持続化給付金と同様に原則、前年同時期と比較して売り上げが50%以上減少した事業者が対象となります。
対象期間は、一時支援金が2021年(令和3年)の1~3月(3ヶ月分)で給付額は最大60万年(個人事業者は30万円)、月次支援金は2021年(令和3年)4月以降の各月で給付額は最大20万円(個人事業者は10万円)です。
一時支援金の申請期限は既に終了していますが、4月分以降の月次支援金はこれから公表されます。持続化給付金と手続上で異なるのは、申請に際して認定機関による確認作業が必要という点です。
雇用調整助成金の特例延長(2021年6月末まで)
雇用調整助成金は、経営悪化により従業員を解雇せずに休業させた場合でも、雇用維持のために休業手当を支払った事業者を支援する助成金です。利用者の多くは昨年から継続利用していることと思います。
新型コロナウイルス感染症に対応した今回の雇用調整助成金は、1日の支給上限額や助成率について特例措置が設けられていますが、2021年5月以降については特例措置の内容の変更に伴い、申請書類のフォーム(厚生労働省のホームページからダウンロード可能)が変わります。継続して申請される方は注意が必要です。
助成金については国、地方自治体から多くの種類の支援策が実施されているため、情報がやや混乱気味です。該当事業者についてはせっかくの申請機会を逃すことのないよう、定期的に情報を確認したり、専門家に相談するとよいでしょう。
出典
中小企業庁 一時支援金
経済産業省 月次支援金
執筆者:蓑田透
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表