更新日: 2021.09.21 暮らし

7月から電話料金が1円増えている。どうして?

執筆者 : 上野慎一

7月から電話料金が1円増えている。どうして?
ある月の電話料金の請求明細は、翌月になれば書面や電子データで確認できます。筆者の携帯電話の場合、通話は定額オプション内、高速通信データ利用量も低位レンジにそれぞれ収まることが多く、料金はここのところ毎月ずっと一定額でした。
 
ところが、今年(2021年)7月分の請求額をよく見てみると、6月に5151円(消費税込み)だったものが5152円(同)でした。明細を確認したところ、見慣れない請求項目に1円(消費税別、以降も請求項目金額に関しては同じ)の記載があったのです。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「ユニバーサルサービス料」もそうでしたが

昨年秋から今年にかけて、携帯電話料金の値下げが大手各社で具体化していきました。プラン変更で値下げの恩恵があるかどうか、普段はあまり詳しく見ないかもしれない利用料金の月々の明細書をじっくりと眺めた方も多かったでしょう。
 
そんな明細書の請求項目の中で、あまり気にも留めない「ユニバーサルサービス料」のことを以前に書きました。国民生活に不可欠で、日本全国で提供されるべき通信サービス(基礎的電気通信役務)。(1)加入電話(基本料)など、(2)公衆電話(総務省の通達に基づき設置されるもの)、(3)110番や119番など緊急通報、の3つでした。
 
要は、「採算は取れないけど、全国どこでも提供しなければならない通信サービスなので、そのためのコストは通信事業者みんなで分担しよう」、そして「利用者のための制度なのだから、最終的には利用者に少しずつ負担してもらおう」といったシステムです。
 
年ごと(半年ごと)に見直され、1番号当たりの月額はここのところ2円か3円で推移しています。昨年はずっと2円で、今年1月からは3円です。
 

「電話リレーサービス」とは

では、今年7月から新たな請求項目で1円が追加されたのは何か。それは「電話リレーサービス料」です。聞き慣れない方も多いでしょうが、総務省(※1)やNTTドコモ(※2)の公表内容などから、次のような概略が確認できます。
 

<内容は>

●聴覚や発話に困難がある方とそれ以外の方(個人、企業、自治体、医療機関、緊急通報受理機関など)を双方向につなぐサービスで、2021年7月1日に開始。
●通訳オペレーターが手話・文字と音声とを通訳することにより、24時間365日利用できる。

 

<誰が提供しているの>

●「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づき、一般財団法人日本財団電話リレーサービスが指定機関としてサービスを提供する。

 

<費用はどうなるの>

●通信事業者各社が負担金を支援機関(電気通信事業者協会)にプールしたうえで、サービス提供機関に交付金を渡す。
●2021年度の交付金総額は約15.4億円で、番号単価(1電話番号当たりの負担額)7円。サービス開始の2021年7月から2022年1月の各月が1円で、2022年2月・3月は0円となる。
●多くの通信事業者は、電話の利用者に負担を転嫁し「電話リレーサービス料」の名目で請求・徴収する。

 
聴覚や発話に困難がある方へ電話をしたい、そうした方から逆に電話連絡がくる。このような状況は、確かに誰にでもあるかもしれません。
 
そのためのサービスインフラ費用を電話利用者が少しずつ負担して、「いつでも」、「どこでも」、「誰にでも」を実現する。先述のユニバーサルサービス料と同様、電話サービスのユニバーサル化のコストを利用者みんなでシェアすることは理があるといえます。
 
ちなみに、聴覚や発話に困難がある方が無料で電話をかけられるわけではなく、緊急通報(110番、119番など)やフリーダイヤルを除いて所定の通話料を負担することになっています。
 

まとめ

今年度の額からすると、次の2022年度の交付金総額は約20.5億円と想定されます。それぞれでは月額1円とはいえ、まさに「チリも積もれば山となる」巨額の負担です。また今年度と同様に、[月額1円の請求がある月/ない月]が年度の中に混在する状況が予想されます。そのことによる混乱も要注意でしょう。
 
新たな負担を伴うこうした制度。政府や通信事業者(電話会社)から積極的に発信や告知がされてきたようには、あまり感じられません。今年7月分の電話料金明細を見て、初めてその存在を認識した人も少なくないと思います。
 
制度の必要性、そして月額負担額が年や月によって変動する場合があること。今回の新サービスもユニバーサルサービスもそうですが、わずか数円という(悪い意味での)気安さに甘えているなどと批判されないためにも、関係者にはより丁寧な説明責任を果たす姿勢を望みたいものです。
 
[出典]
(※1)総務省「電話リレーサービスに関する周知広報の開始」(2021年4月2日)
(※2)NTTドコモ「『電話リレーサービス料』の設定について」(2021年6月1日)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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