更新日: 2021.12.22 その他暮らし

お客さんが未だにお金を払ってくれません。いつまでに何をしないといけないの?

お客さんが未だにお金を払ってくれません。いつまでに何をしないといけないの?
落語でも時々登場しますが、江戸時代は、商品を買う場合に代金を後払いにする「掛け売り」が多く行われていました。「掛け売り」の支払いは、盆と暮れにまとめて払うことが多い傾向にありました。
 
さすがに現在では年2回ということはありませんが、毎月締めて翌月(翌々月等)に支払うことになっています。個人事業主やフリーランスの方に限らず、商売をしているとさまざまな理由で、顧客や販売先から入金されないことがあるかもしれません。
 
万が一入金されなかった場合、どのような手段で回収するのか、回収が厳しい場合、回収できなかった場合どうすればよいのか見てみましょう。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

契約(支払サイト)はどうなっていましたか?

ひと口に「入金がない」といっても、それがどのような契約になっているのかをまず確認しなければなりません。
 
例えば、1月の納品について、1月末(1月31日)で締めて支払期限が3月末(2ヶ月後)に決められていた場合、3月15日に入金がなくてもそれは問題ありません。この取引代金の締め日から代金を支払うまでの期間のことを「支払サイト」といいます。
 
一般的に事業者同士の取引は、「掛取引(後払いの取引)」で行われます。なぜなら、都度取引代金を請求すると請求回数が増えますし、入金の確認の手間も増えます。支払いの場合もその都度支払うことで振り込み回数が増えて、どちらも特に経理部門の手間が増えてしまいます。
 
そのため取引代金の支払いに関する締め日を設けて、取引することになります。その際に、「いつ代金を支払うか」を契約(取り決め)する必要があるのですが、そこで定める支払日までの猶予期間のことを「支払サイト」といいます。
 

本当に入金がない場合は

支払期限を過ぎても入金がない場合は、どうしたらよいのでしょうか。原因として次のような場合が考えられます。
 

1.自身のミスによって支払いが行われない場合

発行した請求書が、しっかりとクライアントへ届いているかを確認しましょう。そもそも請求書を送り忘れていたり、送り先を誤っていたりする場合もあるかもしれませんので、まずは確認してみましょう。
 

2.お客さんのミスによって支払いが行われない場合

請求書に不備はなく、しっかりとクライアントに届いているにも関わらず振り込みがされていない場合は、請求書の入金日を勘違いしていたり、担当者が経理担当に請求書を回すのを忘れていたりするケースが考えられます。
 
その場合はまずは先方に一報を入れるようにしましょう。
 

3.意図的に支払わない場合

お客さんの資金繰りが芳しくなく、支払わない(支払えない)場合です。この場合は、督促などを利用して相手側に入金を求めていくことが必要になる場合もあります。
 
それでも、入金がない場合は、催促状や督促状を送ったり、話し合いを行ったりします。もし、話し合いで結論が出たら公正証書で残しておくようにしましょう。
 

話し合いで解決しないときは

話し合いで回収が難しい場合は、法的手段を検討することになります。法的手段=裁判というイメージでしょうが、実際に裁判になると判決確定まで最低でも3~4ヶ月は覚悟する必要がありますので、その間にお客さんの財産状況が悪化すれば回収できなくなる可能性も出てきます。
 
よってそれ以外の方法も考えることになりますが、その場合は時系列順に表でまとめると図表1のとおりです。
 
【図表1】


 
ただし、これらの手続きは必須ではありません。また、これ以外に民事調停という手続きもあります。どのような方法がベストなのかは弁護士に相談しましょう。
 

回収できずに取引先が倒産したら

取引先の倒産によって回収ができないだけでなく、ご自身の資金繰りが悪化した場合のセーフティーネットとして、主な融資制度には図表2のようなものがあります。
 
【図表2】


 
これら以外にも、自治体等が独自の融資制度等がありますのでご確認ください。
 
現金商売でない場合、どうしてもこのようなトラブルが発生しないという保証はありませんね。いざという時のために、まずは方法と流れだけでも知っていれば慌てずにすむのではないでしょうか。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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