高校新3年生が奨学金申込のとき知っておくと役立つポイント(1)
配信日: 2018.02.23 更新日: 2019.01.10
しかし、説明会から入力まであまり時間がないので、理解が不十分なままで入力しているケースが少なくないと思います。
説明会で奨学金案内の冊子「奨学金を希望する皆さんへ」をもらえますが、ページ数も多く大人でも短期間で理解するには難しい内容になっています。多くの生徒は不安を抱えながら、入力をしていることと推測されます。
そこで、入力するにあたり、最低限知っておくと役立つポイントを2回に分けてお伝えします。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
希望する奨学金の申込方法
奨学金には無利子の第一奨学金と有利子の第二種奨学金があります。平成30年度入学者用には、選択肢として以下の7通りあります。
(1)第一種奨学金予約のみ希望します。
(2)第一種奨学金予約を希望するが、不採用の場合第二種奨学金予約を希望します。
(3)第二種奨学金予約のみ希望します。
(4)第一種奨学金予約及び第二種奨学金予約との併用貸与のみ希望します。
(5)併用貸与を希望するが、不採用の場合第一種奨学金予約のみ希望します。
(6)併用貸与不採用及び第一種奨学金予約不採用の場合、第二種奨学金予約を希望します。
(7)併用貸与不採用の場合、第二種奨学金予約のみ希望します。
(1)~(3)は、第一種奨学金と第二種奨学金の、どちらか一方を借りることを希望する生徒の選択肢です。(4)~(7)は、第一種奨学金と第二種奨学金を両方借りること(併用貸与)を希望する生徒の選択肢です。
申込み後、高等学校等在学中に重複、追加の申込みや変更はできませんので慎重に決めましょう。
無利子の第一種奨学金のみ希望する場合は、単に無利子だからという理由だけで選ぶのは危険です。第一種奨学金は、第二種奨学金に比べて最高貸与月額が少なくなっています。例えば、私大自宅生の場合、第一種奨学金の最高貸与月額は5万4000円です。第二種奨学金であれば12万円です。
進学する大学等の学費が月額どのくらい必要か、保護者からの援助やアルバイトでどのくらい賄えるのか、事前に確認しておきましょう。もし、5万4000円で足りないのであれば、第一種奨学金は選択肢から除外されます。
なお、改正により、第一種奨学金の貸与月額の選択肢は増えました。私大自宅生の場合、従来の選択肢は、月額5万4000円と3万円の2つの金額でしたが、改正後の月額は、5万4000円、4万円、3万円、2万円と4つの金額になりました。
しかし、第一種奨学金の最高貸与月額を借りることができるのは、家計基準が一番厳しい併用(第一種奨学金と第二種奨学金を両方借りること)の場合の基準を満たす必要があります。
平成30年入学者用の家計基準(3人世帯)は、給与所得者の場合、第一種奨学金657万円以下、第二種奨学金1009万円以下、併用599万円以下となっています。
希望する貸与月額
第一種奨学金と第二種奨学金では、借りることができる金額が異なります。
第一種奨学金は、平成30年度入学者から貸与月額が変更になりました。すでに説明したように、平成30年度入学者から貸与月額の選択肢は増えましたが、最高貸与月額を選択できるのは、奨学金を併用する場合の家計基準を満たす必要があります。
第二種奨学金と入学時特別増額貸与奨学金に変更はありません。
第二種奨学金は、基本的に、3万円、5万円、8万円、10万円、12万円からの選択になります。
入学時特別増額貸与奨学金(一時金)は、10万円、20万円、30万円、40万円、50万円からの選択になります。入学時特別増額貸与奨学金は、この奨学金のみの申込みはできません。また、低所得者が利用でき、国の教育ローンを借りられる場合は利用できません。
第一種奨学金の返還方式
第一種奨学金を希望する場合、返還方式として「所得連動」か「定額返還」を選択しなければなりません。
「定額返還」は、年収に関係なく、貸与月額と貸与金額に応じて決められた金額を返還するのに対し、「所得連動」は、年収に応じて返還する月額が決まります。
例えば、月額5万4000円を4年間(48カ月)借りた場合、「定額返還」では、毎月1万4400円、15年間返還します。一方、「所得連動」では、年収200万円なら月額約4700円、年収300万円なら月額約8900円、年収400万円なら約1万3500円となります。
注意点としては、「所得連動」を希望する場合、保証制度は「機関保証」に加入します。年収が少ないと「定額返還」に比べ、返還期間が長くなります。卒業後「所得連動」から「定額返還」への変更はできません。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。