更新日: 2022.01.26 その他暮らし
成人年齢の引き下げと貸金業者の対応について
それが18歳をもって成人となれば、仮に高校生であっても大人とほぼ同等の責任が求められるということです。本稿では、成人年齢の引き下げと貸金業者の対応について考えてみたいと思います。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
成人年齢の引き下げは、契約できる年齢の引き下げ
成人年齢が18歳に引き下げられることで、大きく変わることの1つに「契約」があります。未成年の方が契約を結ぶ場合には保護者の方の同意が必要で、もし保護者の同意を得ることができなければ、契約を取り消すこともできます。
成人年齢が18歳に引き下げられた後は、18歳や19歳の方でも保護者の同意がなくても契約を結ぶことができるようになります。つまり、「保護者の同意を得られなかった」として、契約を取り消すことはできません。
貸金業の利用
貸金業の利用等も前述の契約と同じです。ただし本稿執筆時点(2021年12月)では、貸金業社のなかには申し込みができる年齢を20歳としているところもあります。
もっとも、「学生ローン」は20歳に達していない学生でも利用できます。しかし、1回あたりの融資の限度額が低めに設定されているのが特徴です。具体的な例を以下に挙げました。
・友林堂=30万円が上限(目的融資は50万円)
・学生ローンカレッジ=未成年の場合は10万円が上限
・学協=40万円が上限
(2021年12月時点の情報です)
借り過ぎを防ぎ、学生である借り主を守るというスタンスの現れといえるのではないでしょうか。
成人年齢の引き下げ後の貸金業者の対応
では、成人年齢が18歳に引き下げられた後、貸金業者はどのような対応を取ると考えられるでしょう。借り入れができる年齢を一律に「18歳以上」に引き下げるのでしょうか?
貸金業者は「お金を貸す」だけではなく、借り主の借り過ぎを防ぐことも考えなくてはならないため、やはり「若い借り主を守る」スタンスを保つようです。18歳や19歳の借入申込者への対応は貸金業者によって異なりますが、おおむね、以下のいずれかの対応になるようです。
・保護者の同意を求める
・学生ローンのように借入額の上限を低くする
・融資額が50万円以下でも、通常は不要な収入証明を求める
・融資資金の使途を明確にする
・名義貸しやネットワークビジネスへの関わりの有無を確認する
(出典:金融庁「成年年齢引下げに向けた貸金業界における貸付方針・取組状況等について(日本貸金業協会によるアンケート調査結果の公表)」(※))
まとめに代えて
若いうちは、収入が低いため返済能力も高くない、という判断することができると思います。もっとも、若くても収入の高い方もいらっしゃるかもしれませんが、収入証明を提出して融資条件に合えば良いことです。
若いうちから多重債務に陥り、信用情報が傷つくことがないように、貸金業者にも相応の対応が求められるといえるでしょう。
(※)
金融庁 成年年齢引下げに向けた貸金業界における貸付方針・取組状況等について(日本貸金業協会によるアンケート調査結果の公表)
(出典)
友林堂 ホームページ
学生ローンカレッジ ホームページ
学協 ホームページ
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役