更新日: 2019.03.01 その他暮らし
単身者の引っ越し。業者に頼むべき? それとも自力でできるもの?
執筆者:田中恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
北海道大学卒業後、メーカー勤務を経て出版業界へ。自身の経験を生かした旅行、
アウトドア、ライフスタイル、自然などを得意とするが、ジャンル問わず、多方面
で活躍。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
意外と差額は少ない? 自力の引っ越しと単身パック
■自力の引っ越し
自力での引っ越しの場合、軽トラのレンタカー代やガソリン代、荷物の梱包に使うダンボールや梱包材、友人などに手伝ってもらう際に支払う謝礼などの費用がかかってきます。
もちろん距離や荷物量にもよりますが、同じ都道府県内など近場の引っ越しの場合でレンタカー代とガソリン代が合わせて10,000円、新品のダンボールや梱包材が合わせて5,000円、手伝ってくれた人に対する謝礼が1人5,000円程度と考えると、友人2人に手伝ってもらった場合は、おおよそ25,000円で引っ越しができることになります。
ダンボールはスーパーからもって来るからタダ、と考えている方、多くのスーパーでは、「このダンボールは買い物をした人のためのもの」と注意書きがされています。
「買い物を入れるのに必要な分以上は持っていかないで」というわけです。もらうことができたとしても、強度が不足していたり、使いにくいサイズであることが多いのです。
また、友人がたくさん手伝いに来てくれるのは嬉しいことですが、その分謝礼が増えて業者に頼む費用と変わらなくなってしまっては元も子もありません。冷蔵庫や洗濯機を運ぶために、自分と最低限1人は手伝いが必要ですが、多くても2、3人来てくれれば十分過ぎるくらいです。
■業者に依頼する引っ越し
対して業者に頼む場合は、荷物が少なければ「単身パック」を利用するのがいいでしょう。業者が指定するコンテナボックスに収まる範囲で家具・家電、ダンボールなどを積み込んで運ぶサービスのことです。
業者は1台のトラックで複数個のコンテナを運ぶことができるため、費用を割安に抑えることができます。近場、大手引っ越し業者の単身パックの相場はだいたい20,000円~30,000円。繁忙期であれば40,000円ほど。
遠隔地の場合は上記にプラス20,000円~30,000円ほどです。通常の引っ越しよりも割安ですが、こちらも荷物の量や時期、距離によって価格が変わってくるので、検討している人は見積もりを出してもらいましょう。
また、単身パックで運べる荷物は限られており、一般的に、3ドア以上の冷蔵庫、4kg以上の洗濯機、組み立て式ベッドや大きなタンスなどは運べません。
冷蔵庫や洗濯機は1人暮らし用のものであれば問題ない場合が多いかと思いますが、特にベッドを運びたいと思っているなら注意が必要です。運べる荷物の量の目安は業者によって示されますので、計画的に処分や荷造りをすることができます。
ちなみに「単身プラン」という引っ越し方法もありますが、これは1台のトラックを1人のために使って運ぶため、料金は高くなります。名称は似ていますが、単身パックと単身プランでは運べる荷物や料金は全く異なります。
まとめると、近場での引っ越しの場合、自力と業者との差額は0円~10,000円ほど。手間やリスクを考えると、引っ越し業者に頼む方がおトクではないでしょうか。
繁忙期や遠隔地の場合、自分で運べるようならその方がより安く済むかもしれませんが、まずは引越し業者に見積もりを出してもらってからでも遅くはありません。
甘く考えてはダメ、自分の責任で引っ越しするリスク
費用の面以外に、業者に頼む引っ越しと自力で行う引っ越しにおける大きな違いは「補償があるかないか」。補償の有無が関係してくるのは、運ぶ物自体が破損した場合と、退去する家、新しく入居する家に傷をつけてしまった場合です。
業者に頼まず自分で引っ越しをした場合は、もちろん自分で責任を負うことになります。
友人や知り合いに手伝ってもらって、こうした破損が発生しても、なかなか責任を追及することはできません。対して、業者に頼んだ場合は業者が補償してくれますし、それ以前に、家具や住居への養生をきっちりしてくれるでしょう。
ただし、貴重品や高価なものを運んでもらう際は、あらかじめ申し出ることが必要です。また、何かトラブルが起こった場合、気づいたらすぐに業者に言うようにしましょう。
新生活には多くの費用がかかるため、少しでも節約したいと思うものです。
ですが、引っ越しの手間やリスクはなかなか大きなものなので、安易に自分でもできると考えず、まずは見積もりを出してもらう、メリット・デメリットをしっかりと見極めて結論を出すことをおすすめします。
Text:田中 恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表