更新日: 2019.01.09 その他暮らし

住まいに大切な資産と思いを残す「スムストック」とは?

住まいに大切な資産と思いを残す「スムストック」とは?
「住まい」とは家族にとって大切なお城ではないでしょうか。

その住まいの価値は約20年でなくなると言われており、さらに寿命は約30年とされています。

家族の思いを込めて建てた家が30年でなくなってしまうのは寂しいですし、ローンが終わる前に価値が無くなってしまうのはただの負債にしかなりません。

そこで、長く住み続けられる家を造り、中古住宅の流通を促進するためにハウスメーカー10社で設立されたのが「優良ストック住宅推進協議会」です。そして、良質なストックと見なされるものを「スムストック」と言います。

今回はそのスムストックの制度についてご紹介していきます。

川添典子

Text:川添典子(かわぞえ のりこ)

ファイナンシャルプランナー2級

住宅ローンアドバイザー
明治学院大学英文科卒業後、大手ハウスメーカー就職。
住宅販売の営業職として、顧客開拓、住まいづくりの提案、資金計画相談、販売後のアフターフォローを担当。
仕事を通して、お客様の一番の関心事と不安はお金に関する事だと感じ、ファイナンシャルプランナー2級と住宅ローンアドバイザーの資格を取得。
ハウスメーカーを退職後、暮らしに役立つライターとして、お金に関する知識や情報を提供しています。

スムストックに加入するための3つの条件とは?

スムストックに加入するための条件として3つの条件をクリアすることが必須になっています。
 
その条件とは
・図面やリフォーム歴などの情報をまとめた住宅履歴
・建築後50年以上の長期点検制度、メンテナンスプログラムがあること
・新耐震基準レベルの耐震性能が備わっていること
 
1.住宅履歴を残すことで、お互いに安心
住宅履歴とは、家の設計図や設備情報だけでなく、リフォームやメンテナンスの記録などがまとまったものです。
 
これがあることによって、住宅がどのような状態かを確認することができ、計画的にメンテナンスをすることができます。売却する際も、購入者が安心して購入することができるので、査定価格にも有利になります。
 
2.長期点検とメンテナンスプログラムの必要性
これまで、マンションには、修繕を計画的に行うことが定められていましたが、住宅にはありませんでした。住宅を守っていくためにも、長期的に点検が必要であると考えられています。
 
また、ものを維持していくにはメンテナンスは欠かせません。メンテナンスをしていくことで、性能を長期間維持できるという考えから、メンテナンスプログラムが必要となっています。
 
3.これからの住宅に欠かせない耐震性能
日本は地震大国と言われており、地震は避けることのできない災害です。
 
1981年に改正された建築基準法で定められた耐震性能(新耐震基準)をクリアし、安心して暮らせることが求められています。
 

一般の査定方法と何が違うのか

1.構造と内装・設備に分けて査定
一般査定では構造躯体と内装が別々に査定されません。
 
ですから、構造がいくら強い建物でも評価されないことがあります。スムストックでは、この構造部分と内装・設備を分けて査定し、本来の建物の価値を正しく評価していくという考えです。
 
2.土地と建物を分けて査定
一般では土地と建物全体の査定価格を表示しますが、スムストックは土地と建物を分けて価格を査定します。それぞれを明確にすることで、価格が妥当かどうか信頼性が高くなります。
 
3.専門家が査定し、販売をする
スムストックには「スムストック住宅販売士」の資格を持つ専門家がいます。
 
建物の工法や構造、メンテナンスなどの詳しい知識を持つ人が、査定し、販売までを行うようになっています。
 

スムストックに加入することで、現在の自宅を生かすことが可能に

スムストックに加入することでたくさんの恩恵を受けることができます。
 
例えば、マイホームを購入したは良いけれど、数十年後に転勤が決まってしまった場合です。必ず高い価格の評価を保証するものではありませんが、一般査定では見えてこない構造躯体の部分も査定できるので、納得のいく評価をしてもらえます。
 
他にも、老後はマンション暮らしを検討して、今の自宅をどうするかと検討したときにもこのスムストックは有利になります。もちろん売却もできますし、住宅に価値が残っていることで老後の資金として考えることもできます。
 
あとは、子どもに資産として残すことで、受け継いだ子どもは住むことも売却することも可能になるでしょう。
 
将来のことだけでなく、スムストックに加入できるということは、長期点検とメンテナンス制度があるということです。普段も安心した住まいとして暮らしていけることも大きなメリットになります。
 

購入する側も安心して購入できる

中古住宅を購入する人は増えていますが、どこの業者が建てたかわからないですし、家の状態もわかりません。
 
そのため、不安に思う人も多いのではないのでしょうか。スムストックに加入している住宅であれば、どこのメーカーで建てたか明確にわかりますし、メンテナンスやリフォーム履歴などもあるので、住宅の状態がわかります。
 
そのまま保証も受け継ぐことが可能なので、中古住宅を検討する人はスムストックに加入している物件を探すことをオススメします。
 

まとめ

空き家などの問題からも住宅に対する取り組みは活発になっています。住宅を消費するものとして捉えるのではなく、これからは大切な資産として、また、次の世代へと残していくものと捉えていくのです。
 
そこには、資産だけでなく、建てた人の大切な思いもたくさん詰まっているのです。
 
これから住宅購入を新しく建てる、また中古住宅の購入を予定している人は、大切な資産と思いを残す、または引き継ぐ住まいとして検討するのも良いかもしれません。
 
Text:川添典子(かわぞえ のりこ)
ファイナンシャルプランナー2級,住宅ローンアドバイザー

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