上場企業の役員報酬の相場はどのくらい? ベンチャー企業と差はある?
配信日: 2022.03.29 更新日: 2022.04.04
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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東証一部および二部上場企業の役員報酬はどのくらいあるのか?
ある企業が実施した、東証一部および二部に上場している企業2600社を対象とした、2020年度の役員報酬の調査結果によると、社内取締役の平均年俸は3630万円でした。
ちなみに、その内訳は、基本報酬2660万円、賞与640万円、株式報酬260万円、その他70万円でした。企業規模別や会長、社長、専務といった役位別の報酬額の状況については、この調査からでは分かりませんが、日本国内の東証一部および二部に上場を果たした企業の役員報酬の状況を知ることができます。
また、人事院が実施する「民間企業における役員報酬(給与)」についての調査があります。この調査は、指定職俸給表の適用を受ける事務次官などの国家公務員の給与を検討するための情報収集を目的としています。民間企業における、主な役員の年間報酬額を、企業規模別に集計した結果が提供されています。全国の企業を対象として、毎年実施されていますが、令和2年と令和3年は中止となりました。
この調査では企業規模別での役名ごとにおける平均年間報酬額が出されており、2021年度の全規模での社長の場合は4766万円でした。また、役位が社長の場合で企業規模が500人以上1000人未満の場合は4126.7万円、1000人以上3000人未満の場合は4798.1万円、3000人以上の場合は7301.3万円となっています。
ちなみに、企業規模が3000人以上の大企業となると、専務で4311.7万円、常務で3317.6万円となり、企業規模が500人以上1000人未満の場合で専務2672.4万円、常務2084.0万円、1000人以上3000人未満の場合で専務2843.1万円、常務2407.7万円となり、従業員が3000人を超える企業における役員報酬額が、あきらかに大きいことがわかります。
ベンチャー企業の役員報酬は多いの?少ないの?
ベンチャー企業の役員報酬については、スタートアップ段階なのか事業が軌道にのった段階なのかで状況が異なってきます。例えば、代表取締役の役員報酬の平均額は、創業時点では464万円だったのが、10年目には2.2倍の1026万円に増加しています。
このことからも、業界で生き残った企業の場合は、業績も好調で、安定した売り上げがある状態となり、事業規模、企業規模もそれなりに成長していると考えられるため、役員報酬も大きくなる傾向があるといえます。
ところで、若干古いデータとなりますが、ベンチャー企業90社について、「新規上場申請のための有価証券報告書」に基づいて、役員報酬を調査した結果があります。この調査では、基本報酬と賞与の合計を調査対象企業の取締役の人数で割って、役員報酬の平均値を算出しています。
実際に調査した結果を見ると、ベンチャー企業の役員報酬の平均値は1649万5440円、中央値は1329万4750円でした。ただし、調査の元となるデータについては、非常勤取締役が含まれているとのことで、結果的に役員報酬の平均値を下げる結果となっている可能性が否定できないため、若干報酬額が低くなるバイアスがあると考えられますが、傾向を把握するものとしてみることができます。
以上から、ベンチャー企業の役員報酬と東証一部および二部上場の企業の役員報酬の平均値で比較してみると、後者の上場企業の方がおよそ2倍の役員報酬がある状況といえます。ただし、ベンチャー企業においても、東証一部および二部上場企業の役員よりも多くの役員報酬を得ることができている企業もありますが、ベンチャー企業全体を見ると、そのようなケースは多くはないといえます。
役員報酬は、企業規模、事業内容や売り上げ等に応じて大きく差がある場合もある
東証一部および二部上場企業およびベンチャー企業における役員報酬の状況をみてきましたが、やはり企業規模、事業規模が大きい、大企業の役員報酬が高額であるといえます。
また、ベンチャー企業においても、規模の大きい企業で業績が好調な企業においては、役員報酬もそれなりに高額となっている状況です。ただし、全体的にみると、やはり上場企業の役員報酬の方がベンチャー企業に比べて高い状況にあることがわかります。
株式会社日本総合研究所 東証一部・二部上場企業における役員報酬の支給実態調査(2020 年度版)
人事院 民間企業における役員報酬(給与)調査
SOICO株式会社 役員報酬レポート
スローガン株式会社 FASTGROW90社354名を徹底調査。ベンチャー上場時の役員報酬はいくらなのか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部