【借金が返せない場合】4種類の「債務整理」から無理のない方法を選ぼう!
配信日: 2022.05.25
本記事では、債務整理の種類、利用条件、さらにメリットやデメリットを解説しますので参考にしてください。
執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
債務整理の種類
債務整理には4種類の方法があるため、種類別に紹介します。
任意整理
任意整理とは、裁判所を使わずにお金を貸している人と、お金を借りている人とが交渉することです。利息の支払いをなくしたり、返済期日を延長することを目的として行います。
自己破産
自己破産とは、裁判所に借金を免除してもらうことです。借金の免除が認められると、税金などの公的な借金以外は支払う必要がなくなります。ただし、自己破産を申請した場合、申請時点で所有している財産は、生活に必須のもの以外はすべて失います。
個人再生
個人再生とは、裁判所を通して借金の額を減らしたり、返済期間を延長したりしてもらうことです。借金の額を減らした場合、原則3年以内に減額後の借金を返済しなければいけません。
特定調停
特定調停とは、簡易裁判所の仲介でお金を貸している人と借りている人が話し合いを行うことです。基本的には、お金を借りている本人が手続きを行います。
債務整理ができる条件
債務整理ができる条件は各債務整理で異なるため、それぞれ分けて解説します。
任意整理が利用できる条件
任意整理を行うための条件は次の通りです。
・任意整理申請後に発生する利息をなくした元本を、原則3年以内で返済できる収入があること
・借金を最後まで支払う意思があること
・毎月の収入がある仕事に就いていること
任意整理は基本的に、弁護士などの専門家を代理人にして行います。
自己破産が利用できる条件
自己破産を行うための条件は次の通りです。
・借金が返済できるような状態ではないこと
・自己破産の不許可条件に該当していないこと
自己破産の不許可条件は、過去7年以内に自己破産をしたことがある、借金をギャンブル・投資・趣味で作ってしまった、などの条件のことです。
個人再生が利用できる条件
個人再生を行うための条件は次の通りです。
・住宅ローンを除く借金の総額が5000万円以下であること
・裁判所に個人再生計画を提出し認可を得ること
・毎月収入がある仕事に就いていること
・減額した借金を原則3年以内に返済すること
裁判所との打ち合わせを重ねますので、原則、弁護士などの専門家に依頼して進めていきます。
特定調停が利用できる条件
特定調停を行うための条件は次の通りです。
・今後、借金を返済できるだけの収入が見込めないこと
・簡易裁判所に出廷できる状況であること
・毎月収入がある仕事に就いていること
・特定調停申請後、利息を除いた元本を原則3年以内に返済できる収入があること
特定調停は、仕事などで全く出廷できない場合、弁護士等代理人を立てる必要があります。
債務整理のメリットやデメリット
債務整理をすることにはメリットやデメリットがあります。債務整理をするメリットは、借金の返済額が減額されたり、免除されたりすることで生活が楽になることです。お金を借りている会社や人からの催促の連絡が来なくなるだけでも心に余裕ができます。
一方、債務整理をすることによるデメリットは、いわゆるブラックリストに登録されてしまうことです。ブラックリストに載るというのは、正確に言うと、信用情報に債務整理をしたことが掲載されるという意味です。信用情報には、債務整理を行ったことがおおよそ10年間掲載されます。この掲載されている期間は、基本的に借り入れやクレジットカード作成をすることはできません。
まとめ
借金が返済できなくなった場合に、債務整理をすることは法律で認められた権利です。借金は必ず全額返済をする、ということは大切なことですが、借金の返済ができないかも、と思ったときには債務整理を行うことを考えましょう。無理をして返済を続けていると苦しくなる一方です。債務整理を利用するには条件がありますので、弁護士などの専門家に相談し早めの確認をおすすめします。
出典
e-Gov法令検索 破産法
e-Gov法令検索 民事再生法
e-Gov法令検索 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律
裁判所 破産の手続・自己破産の申立てを考えている方へ
裁判所 個人再生手続利用にあたって
裁判所 特定調停手続
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター