更新日: 2022.06.16 その他暮らし

【なぜ?】円安が続く相場、それでも「為替介入」しない理由とは?

【なぜ?】円安が続く相場、それでも「為替介入」しない理由とは?
近ごろ円安が続いていることがニュースでよく取り上げられています。円安は海外から物を輸入する際のレートが不利になるため、市民の生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。この円安は通貨当局による「為替介入」により緩和することも可能ですが、現在は大きな為替介入は行われていません。
 
この記事では、円安とはどのような状況なのか、また為替介入がなぜ行われていないのかについて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

円安とは?

円安とは「外貨に対して日本円の価値が下がること」を意味します。円安になると日本から物を輸出する際はメリットになりますが、逆に輸入する際は不利なレートで物品を購入しなければならず大きなデメリットとなります。以前の日本は自動車など輸出産業が盛んだったため、格安で輸出ができる円安にもメリットが多かったですが、現在は海外からの安い原材料の輸入が生命線である部分もあり、円安は大きな打撃となります。
 
そこで円安を緩和するために通貨当局(日本では財務省、金融庁、日本銀行)が行うのが「為替介入」です。円安は日本円が売られて需要が下がってしまうため起こる現象であるため、政府がドルなど外貨を売り、日本円を買うことで円安を抑えることができます。
 
為替介入は数兆円単位の金額が投じられることもあり、相場に大きな影響を与えるため、大きく注目されます。直近では2011年の東日本大震災の際、1日としては過去最大となる8兆722億円の為替介入が行われ話題となりました。
 

為替介入が行われない理由

近年、円安が急激に進んでいます。2022年3月28日には1ドル=125円10銭という、約6年7ヶ月ぶりの円安水準となりました。ところが、それを緩和する為替介入は現在まで実施されていません。実はこれにはいくつか理由があります。
 

・外貨準備の範囲でしか介入できない

先述したように、円安の抑止には外貨を売却して円の購入を行います。つまり、政府が持っている外貨の範囲内でしか円を購入することができないのです。これは日銀が好きなだけ発行できる日本円を売却する円高の抑止とは大きく異なります。
 

・米国債を売却する必要がある

現在、日本の外貨準備の80%は証券運用です。この証券運用の多くはアメリカの国債(米国債)である可能性が高く、為替介入を行うにはこれらを売却しなければいけません。しかし米国債を売却するとアメリカの長期金利を上昇させてしまうため、日米の金利差が拡大してしまい、逆に円安のリスクとなってしまうのです。
 

・アメリカとの連携

政府によるドル売りは、日米関係にも大きく影響します。アメリカは現在、インフレに悩んでいるため、円安ドル高の現状はアメリカにとって好ましい状態なのです。もしアメリカの意向に反して為替介入を強行し円安を回避してしまいますと、日本はアメリカから反発を受ける可能性もあります。
 

為替介入しない理由はさまざまなものがある

ここまで、円安についての説明や、政府が為替介入を行わない背景について解説しました。円安により市民生活にもさまざまな影響が出てしまいますが、政府としてもすぐに為替介入できない理由が多く存在するのです。これらを理解した上で、これからの為替について、またそれに影響される私たちの生活について考えてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集