働く女性を応援する(7) 女性起業家に優遇制度がある金融機関をご存知ですか?
配信日: 2018.04.02 更新日: 2019.05.17
でも女性だから借入ができないなどということはありませんし、女性ならではの優遇がある場合があります。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
女性、若者、シニア起業家が優遇される
例えば、日本政策金融公庫は政府系金融機関として、小規模事業者に対する経営支援を行っています。
そのなかで「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、事業開始後おおむね7年以内の、35歳未満か55歳以上の人、もしくは女性の起業に対して融資を行います。
融資限度額は7200万円で、うち運転資金は4800万円まで借りられます。
返済期間は、設備資金は20年以内、運転資金は7年以内で、うち2年以内の据置期間があります。民間の金融機関と比べて低金利・固定金利で融資を受けられますし、国の政策に基づき融資を行うため、基本的に貸し渋りはしません。
また、日本政策金融公庫は「女性活躍推進法」のもとで、女性が将来的なキャリアビジョンを描きながら、働くことができるよう支援を行っていたり、生産性の高い職場づくりに向けて、ワークライフ・マネジメント推進に力を入れていたりします。
女性だからとか、子どもがいるからとか、そういったことは壁にはならない仕組みなのです。
ほかにもある女性に有利な制度を活用しよう
日本政策金融公庫の融資のほかにも、女性に有利な制度があります。公的融資の場合、一般的に低金利で固定金利が多く、無担保・無保証人の場合もあります。
東京都にも女性・若者・シニア創業サポート事業(融資)がありますし、補助金・助成金などの審査では、女性に対して加点されるケースもあります。
ただし、借入手続には多くの書類が必要であり、税金は事前に完納が必須ですし、融資実行までに時間を要する(申し込んで即日入金されるわけではない)という点は注意しておきましょう。
もちろん、女性だからと誰でも希望通りの融資が受けられるわけではありません。きちんと審査を受けて一定の評価がされて初めて、希望通りの融資が受けられるわけですが、誠実にひたむきに頑張ることができる人への支援体制はあるといえるでしょう。
また国や各都道府県などで行われている起業セミナーのなかには、女性に特化したセミナーもあります。公的機関が主催のセミナーですと、参加費無料なものも多いですし「起業したいけど、何からしたらよいかわからない」という人は、まずセミナーに出てみてください。
起業への道筋が見えてくるだけでなく、新たな発見がたくさんあるはずです。そして、同じような志の女性と出会うことで、安心し、共感し、女性経営者ならではの悩みを解決するきっかけとなります。
女性は横のネットワークを作るのが得意です。そういった強みを活かして、ともに夢を実現できたら素敵ですね。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士、システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表