更新日: 2022.08.24 子育て
ひとり親控除と寡婦控除の違いは何? 自分はどっちに該当する?
「ひとり親控除」と「寡婦控除」は、どちらもひとり親に対する税制優遇制度ですが、条件に違いがあるため、自分がどちらに該当するか理解したうえで利用することが大切です。
そこで本記事では、「ひとり親控除」と「寡婦控除」の違いについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
ひとり親控除について
「ひとり親控除」とは、2020年(令和2年)に新設された、ひとり親世帯への税制優遇制度です。次の全ての条件を満たした人は、「ひとり親控除」が適用されます。
・その年の12月31日に婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかでない
・婚姻関係と事実上同様の事情にあると認められる人がいない
・生計を一にする子がいる
・合計所得額が500万円以下である
「ひとり親控除」の控除額は、一律35万円です。ひとり親控除は、令和2年分の所得税から適用されています。生計を一にする子がいることが条件になっていますが、この場合の子とは以下2つを満たす必要があります。
・年間所得が48万円以下
・他の人の同一生計配偶者や扶養親族に入っていない
また、子とは必ずしも同居している必要はなく、別居していても生活費や学費、療養費などを常に送金していれば生計を一にしていると認められる場合があります。
寡婦控除について
その年の12月31日の現況でひとり親に該当せず、次のいずれかに当てはまる場合には、寡婦控除の対象となります。
・夫(※1)と離婚したあと婚姻をしておらず、合計所得金額が500万円以下の扶養親族(※2)がいる人
・夫(※1)と死別したあと婚姻をしていない人もしくは夫の生死が明らかでなく、合計所得金額が500万円以下の人
(※1)夫とは、民法上の婚姻関係にある者を指します。
(※2)扶養親族とは、その年の12月31日に以下4つの要件の全てに当てはまる人を指します。
・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)、または里子や市町村長から養護を委託された老人であること
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと
また、令和元年分までは、「寡婦控除」の適用でしたが、令和2年分から「ひとり親控除」に変更されました。
「ひとり親控除」と「寡婦控除」の違い
2020年(令和2年)から「ひとり親控除」が新設されましたが、「寡婦控除」と「ひとり親控除」の大きな違いは、婚姻の事実の有無です。「寡婦控除」が結婚後の、離婚・死別・生死不明などを原因とするのに対し「ひとり親控除」は婚姻の事実がなくても適用されます。
ひとり親控除と寡婦控除の違いを図表1にまとめました。どちらの条件にも該当する場合には、控除額の大きい「ひとり親控除」が適用されます。
【図表1】
ひとり親控除 | 寡婦控除 | |
---|---|---|
婚姻事実など | 婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかでなく、婚姻関係と事実上同様の事情にあると認められる人がいない。婚姻歴の有無は問わない | 夫と離婚や死別したあとに婚姻しておらず、事実上婚姻関係と事実上同様の事情にあると認められる人がいない |
性別 | 男女問わない | 女性のみ |
扶養要件 | 総所得金額等が48万円以下で生計を一にする子がいる | 扶養親族がいる(子、親、祖父母、孫など) ※夫と死別した場合は、扶養親族の有無にかかわらず適用 |
所得 | 合計所得金額が500万円以下 | 合計所得金額が500万円以下 |
控除額 | 35万円 | 27万円 |
出典:国税庁「No.1171 ひとり親控除」「No.1170 寡婦控除」より筆者作成
それぞれの要件を確認して控除を受けよう
「ひとり親控除」と「寡婦控除」の大きな違いは婚姻事実の有無です。その他にも、性別や扶養家族の種類などに違いがあります。どちらの条件にも該当する場合には、控除額の大きい「ひとり親控除」が適用されます。
自分が「ひとり親控除」と「寡婦控除」どちらに該当するのか要件を確認したうえで、税金の優遇措置を受けましょう。
出典
国税庁 No.1171 ひとり親控除
国税庁 No.1170 寡婦控除
国税庁 No.1180 扶養控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー