新卒で「年収230万」です…奨学金の返済は月いくらなら無理なく返済できますか?
配信日: 2022.10.11
では、新卒者の平均より若干低い年収230万円の新卒者が無理なく返済できる金額はいくらでしょうか。
本記事では、埼玉在住で都内に職場がある人の家計という例で、当該者が無理なく返済できる金額を算出してみました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金とは何か? その仕組みを解説
奨学金とは、大学などの入学金と授業料が支払えない人をサポートするための制度です。奨学金には返済が不要の給付型と返済が必要な貸与型があります。
給付型は受給要件のハードルが高いため、多くの人に利用されているのは貸与型です。
・貸与型奨学金の種類
最も多くの学生が利用する独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金には、主に第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)の2種類があります。
・貸与奨学金を借りるには?
日本学生支援機構の貸与奨学金を借りるには、規定の要件(申込資格や学力基準など)に該当する必要があります。第一種、第二種それぞれに成績や経済状況など異なる要件が設定されているため、日本学生支援機構のホームページなどで事前に確認しておきましょう。
・貸与奨学金の返済方法
日本学生支援機構で借り入れた貸与奨学金の返済が始まるのは、貸与終了後の翌月から数えた7ヶ月目からです。返済方法は、定額返還方式と所得連動返還方式のどちらかを選択できます。
定額返還方式は、貸与総額に応じて算出された金額を毎月定額で返済する方法です。一方の所得連動返還方式は、前年の所得に応じて決定された金額を返済します。なお、奨学金の返済は金融機関からの引き落とし(口座振替)が原則です。
データで見る奨学金の現状
2019年に労働者福祉中央協議会が実施した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」から、奨学金の現状を見ていきます。
・利用されている奨学金の割合
奨学金利用者の約7割が日本学生支援機構の奨学金を利用しています。その中で、第一種を利用しているのは30.1%、第二種を利用しているのは41.2%です。他には、日本育英会の第一種(無利子)が16.6%、第二種(有利子)が11.8%、両奨学金以外の貸与型が6.0%、給付型が3.2%などとなっています。
・奨学金の借入額の平均
日本学生支援機構の奨学金利用者の平均借入額は324万3000円です。また、12.4%の人が500万円以上の借り入れを行っています。
・奨学金の月々の返済額の平均
日本学生支援機構の奨学金利用者の月々の平均返済額は1万6880円です。また、最も割合の多い金額は1~1万5000円未満(33.5%)でした。
・奨学金の返済期間の平均
日本学生支援機構の奨学金利用者の平均返済期間は14.7年です。また、最も多い期間は15~20年(33.5%)でした。
新卒で年収230万円の人が無理なく返済できる金額はいくら?
2021年の総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)を参考に、埼玉在住で都内勤務の年収230万円の新卒者が無理なく返済できる金額を算出してみました。
・当該者が無理なく返済できる金額
家計調査年報から導き出した当該者の家計の内訳は次のとおりです。
給与(手取り)が約16万円、食費が4万円程度、住居費が5万円程度、光熱・水道費が1万2000円程度、保健医療が7000円程度、交通・通信費が2万円程度、教育・娯楽が1万6000円程度、預貯金が5000円。
給与から生活費などを差し引いた残額は1万円のため、無理なく返済できる金額は同程度であると考えられます。ただし、当金額はあくまで推計であるため、家計などによって変動する点には留意が必要です。
将来の収入は不透明なため無理な借り入れは控えよう
奨学金は経済的な事情で大学などの入学金や授業料が支払えない人が利用できます。給付型と貸与型がありますが、貸与型の場合は返済が必要です。
返済額の平均は1万6000円程度ですが、年収が230万円の場合は1万円程度が無理なく返済できる金額の目安になります。
無理な借り入れは控えるべきですが、もしも返済が難しい際は返済の猶予なども可能です。収入に合わせた返済計画を立てるようにしましょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
日本経済団体連合会 2021年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要
独立行政法人日本学生支援機構 日本学生支援機構について(令和元事業年度業務実績等)
労働者福祉中央協議会 「奨学金や教育費負担に関する アンケート調査」 調査結果の要約
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部