更新日: 2022.10.24 その他暮らし

【なぜ?】中古車の販売価格が「新車価格」を上回る現象について解説

【なぜ?】中古車の販売価格が「新車価格」を上回る現象について解説
中古車市場で最近、一部の中古車の販売価格が、新車の販売価格を上回っているケースをご覧になったことがあるかもしれません。
 
一般的に新車より割安な価格で購入できる中古車が、新車よりも値段が高いなんて不思議ですよね。
 
本記事では、一部の車種で起こっている中古車の販売価格の高騰について解説していきます。
川辺拓也

執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)

2級ファイナンシャルプランナー

中古車が新車より販売価格が高くなっている理由


 
中古車が新車より販売価格が高くなった主な理由としては、以下の2点が考えられます。

・半導体不足による新車の生産力低下で中古車の需要が増加
・円安で海外からの需要が増加

新車の生産力が低下すると、車の乗り換えを検討するユーザーも減少します。車を手放さないユーザーが増えると、中古車市場で在庫が生まれません。中古車の在庫が需要に追いつかなくなり、市場価格が高騰するというわけです。
 
新車製造に必要な半導体の生産が不足した背景には、新型コロナウイルス感染拡大があります。世界的に流行が広がる中、半導体の生産工場の稼働率が低下し、半導体の生産不足で新車の生産力が低下したことが、円安の進行と相まって中古車価格をさらに押し上げたと考えられます。
 
さらに、円安の影響で海外から日本の中古車が高い値段で購入された結果、中古車の販売台数が需要に追いつかず、価格が高騰したという経緯があります。
 

中古車の登録台数から見る今後の中古車市場

中古車価格は今後も上昇傾向を続ける可能性があります。経済産業省が発表した生産動態統計を見ると、図表1の通り、2022年8月の乗用車生産台数が、2022年7月と比較して減少していることが分かります。
 
【図表1】


 
出典:経済産業省 生産動態統計 2022年8月速報より筆者作成
 
仮に新車の生産台数の伸び悩みが継続すると、車を手放すユーザーがいっそう減少し、中古車の登録数が伸び悩むことが予想されます。実際に、2022年8月の中古車登録数は約27万台で、前年同月比97.7%となっています。1月から6月の上半期では約182万台と、前年同期比93%にとどまっています。
 
為替相場は2022年10月20日時点で1ドル149円と、依然として円安傾向が続いています。中古車の登録台数や円安の状況から、今後も中古車の価格は高騰を続ける可能性が否定できないといえるでしょう。
 
一方、国内新車販売台数は15ヶ月ぶりにプラスに転じました。2022年9月の乗用車の新車販売台数は約21万2000台で、2022年8月から約5万8000台増加しています。新車販売が増えて、中古車の需要に供給が追いつくかどうかが、今後の販売価格を左右するポイントになりそうです。
 

中古車の販売価格は今後も注視する必要あり

今回は、中古車の販売価格が新車を上回る現象の背景について解説しました。
 
新型コロナウイルスの影響で半導体不足に陥ったため、新車の生産が追いつかず買い替えする人が減ったことで、中古車が出回りにくくなっています。加えて、円安の影響で海外からの需要が高まったことも、中古車価格を押し上げたと考えられます。
 
今後どこまで価格が高騰を続けるのかに注目です。
 

出典

経済産業省 生産動態統計 2022年8月速報
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会 中古車・登録車合計
 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集