更新日: 2020.04.06 その他暮らし

乗り放題なの?噂の『全線定期券』って何がお得なの?

執筆者 : 松浦建二

乗り放題なの?噂の『全線定期券』って何がお得なの?
お勤めの人なら通勤定期、学生なら通学定期を使って毎日出社・登校している人は多いでしょう。
 
そうでない人には縁のない定期券ですが、実は定期券の中に全線定期券というものがあります。使い方によっては交通費を大幅に節約できる優れものです。
 
どのような定期券なのか、どのように使えばお得になりそうか考えてみました。

松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

運営路線の全線に乗り放題なのが全線定期券

全線定期券は、運営路線の全線で一定期間自由に乗り降りできる定期券です。全線定期券の取り扱いがあるのは一部の鉄道やバスで、全線で乗り放題になることから、エリアが比較的限定された地下鉄やバス等に多いです。ここでは鉄道の具体的な例を見てみましょう。
 


資料:各鉄道会社のホームページ      ※記載の運賃はすべて大人運賃
 
各鉄道会社のホームページで調べたところ、8社(そのうち6社が地下鉄)で全線定期券の取り扱いを確認できました。Osaka Metroはバスも乗り放題です。多くは大都市の地下鉄で、JRにはありません。
 
乗り放題になる範囲は切符を買うと130円から430円(富山地方鉄道を除く)で行ける距離なので、比較的コンパクトなエリアで設定されています。各定期券(1か月・3か月・6か月)の料金は下記のとおりです。
 

資料:各鉄道会社のホームページ   ※記載の定期券料金はすべて大人料金
 
1か月の欄にカッコで記載の「切符運賃での利用回数」とは、1か月の定期代が切符で乗車する場合の何回分の設定になっているか計算したものです。
 
例えば東京メトロの場合、初乗り運賃170円なら101.8回分、最も高い切符310円なら55.8回分の設定になっています。富山地方鉄道では12回乗ればもうお得になることも可能ですが、短い区間だと100回以上乗らないとお得にならない場合もあります。
 
3か月と6か月の欄にカッコで記載の「対1か月」とは、それぞれの定期代が1か月定期の何倍になっているかを計算したものです。東京メトロの場合、3か月定期は1か月定期を2.85倍した額、6か月定期は1か月定期を5.40倍した額に設定されています。
 
ほかも東京メトロと同様に3か月定期は2.85倍に設定、6か月定期は5.4倍に設定している場合が多いです。
 
お得に使えそうなパターンとして、都営地下鉄で1つ考えてみました。本八幡(都営新宿線)に住んでいる人が通勤で馬込(都営浅草線)へ1か月に20回行くと、20往復で切符代が17,200円(ICカードでは16,880円)、1か月定期では12,840円かかります。
 
この人が全線定期券を利用すれば1か月の定期代は15,210円なので、切符やICカードの場合と比べたら20往復するだけでもお得になります。
 
ただ、普通の定期よりは2,370円余計にかかってしまいます。そのため、仕事や私用等で普通の定期では利用できない場所へ14回(ICカード運賃で174円の区間を利用と仮定)以上行かないとお得にはなりませんが、それほど難しくはありません。
 
都営地下鉄のホームページに下記の記載があります。
 
『【注】全線定期券には氏名の指定がありません。持参人1名に限り都営地下鉄全線が乗り降り自由です。』
 
氏名の指定がない(PASMOの定期は記名人のみ有効)ので、本人が使わない日に家族が使うことも可能となっています。本八幡からは新宿や六本木へ都営地下鉄だけで行くことができ、銀座へも東銀座や新橋駅を使っていくことができます。
 
平日の日中は営業等で移動が多く、休日は買い物に行くことが多いような人(家族を含む)なら、かなりお得な定期券になるのではないでしょうか。
 
都営地下鉄以外でも、出発地と目的地と行動パターンによって、全線定期券がかなりお得になる可能性はいくらでもあります。このようなシミュレーションが得意な人は結構多いでしょうから、まずはネットでお得な使い方をいろいろ探ってみるとよいかもしれませんね。
 
※株主になると株主優待で全線が乗り放題になる優待券をもらえることもありますが、権利を得るには一定数以上の株を保有する必要があります。
※全線定期券の使用方法等については、各鉄道会社へ直接確認してください。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士


 

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