【定期券の貸し借り】友達や家族での使いまわしで重大な問題の可能性
配信日: 2018.05.11 更新日: 2019.08.20
定期券を購入することで、通勤や通学にかかる交通費が安くなるうえ、休日のお出かけにも利用することができるため、定期券を毎日使用している人も少なくないでしょう。
その利便性ゆえ、つい家族や友人同士の間で「定期券を貸してくれない?そう簡単にはばれないだろうし。」と定期券の貸し借りをしたくなってしまいます。
しかし、基本的に定期券の貸し借りは禁止されており、発覚した場合には重大なペナルティーが待ち構えています。
そこで、今回は定期券の貸し借りに潜む危険についてご説明します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
危険その(1)定期券が無効になってしまう
日本において最も一般的な定期券は、利用者の名前が券面に記載されている「記名式定期券」と呼ばれるタイプのものとなります。
記名式定期券は、基本的に券面に記名されている人のみが利用できることになっています。
では、もし記名式定期券において、他人が利用していたことの発覚してしまった場合にはどういった取り扱いがなされるのでしょうか。
なんと、記名されていない人は記名式定期券を使用すると不正乗車となってしまい、残りの期間に関係なくその定期券が無効となり、回収されてしまうのです。
危険その(2)割増運賃を支払わなければならない
先ほど、別人の利用が発覚した場合に定期券が無効となり回収されてしまうと説明しました。
ですが、ペナルティーはそれだけではありません。
驚くことに、割増運賃も支払わなければならないのです。
支払うこととなる金額はJRの場合で「定期券の利用可能日から無効となる日まで、区間内を毎日1往復した運賃」に2倍の金額を加えた額と定められています。
往復金額にさらに2倍の割増が加わることで非常に大きな金額を支払うこととなります。
定期券の金額ではなく「往復金額」を基準に計算する点に注意しておいてください。
危険その(3)詐欺罪として刑法上の罰則を受ける恐れも
定期券の不正利用が発覚してしまったとき、それが悪質だと判断されてしまった場合に、詐欺などの罪で刑事告訴されてしまう可能性があります。
万が一、詐欺罪の成立が認められてしまうと10年以下の懲役という非常に重い罰則が待ち構えています。
貸し借りを想定するのなら持参人式定期券を利用しましょう
持参人式定期券とは、どなたでも利用できる定期券です。
記名式定期券と異なり、貸し借りが認められているため、安心して家族や友人間で利用することができます。
ただし、記名式定期券よりも高額であり、かつ、交通機関によっては取り扱っていないこともあります。
取り扱いや価格については利用する交通機関へお問い合わせください。
記名式定期券の貸し借りは絶対に行わないようにしてください
定期券は便利なものであり、簡単にはばれないだろうと思ってつい気軽に貸し借りしようと考えてしまいがちです。
しかし、貸し借りの対象となる定期券が記名式であった場合には、その定期券を利用した乗車は不正乗車に該当することとなります。
不正乗車の発覚した場合には刑事罰をも含む重大な処分となることがあります。
記名式定期券の貸し借りは絶対に行わないようにしましょう。
また、交通機関によっては今回説明した内容と異なる取り扱いをしていることもあります。
詳細な事項については各交通機関まで確認するようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー