更新日: 2022.10.31 その他暮らし

「20代で持ち家」はどうなのでしょうか?

「20代で持ち家」はどうなのでしょうか?
日本人が持ち家に住む比率は、諸外国と比較しても高くなっています。持ち家比率は、30歳以降に住宅取得者が増え、60歳以上では8割近くの人が持ち家に住んでいます。「20代での持ち家」はどうなのでしょうか。今回は20歳代で持ち家に住むケースについて、その実態を含めて学んでみましょう。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

年代別の持ち家率について

国土交通省の調べによると(※1)、年代別の持ち家率は次の表のようになっています。
 

 
表は(※)に基づき筆者が作成
 
この表から以下のことが読み取れます。
 

●29歳未満でも約12%が持ち家所有になっていること。
●30歳代が持ち家取得のピークであること。
●60歳以上では約8割が持ち家所有になること
●直近調査の2018年では、60歳以上を除き持ち家比率が前回調査を下回り、持ち家の取得が遅くなっている。

 
ここでは、29歳以下の持ち家取得に焦点を絞って見てみましょう。
 

20代の持ち家希望者の比率とその理由

30代以上では年代別の多少の差はありますが、約60%~70%程度が持ち家を希望しており、20代でも56.4%が持ち家を希望しています。20代では80%近くが未婚ですので意外の感もありますが、将来のことを考えていることが推定されます。
 
「人の住まい方」(※2)によれば、20代の持ち家希望の理由は、
 

(1)資産価値がある・借家は生活や権利が不安定・その他が75.8% 
(2)子供や家族に残したいが21.2% 
(3)家賃を払うよりローン支払いの方が良いが3.0%

 
となっています。
 
30代以降では、子どもや家族に残したいが、16%~27%になっており、結婚後の家族への思いが反映されています。
 
20代で持ち家を実際に入手する比率は高くはないのですが、早く着手する人は、生涯の計画(ライフプラン)に対する、より強い思いがあるのではないでしょうか。
 

持ち家入手の選択肢

持ち家入手を決意したとして、どのような持ち家にするかにはいくつかの選択肢があります。代表的なのは、「新築マンション」「中古マンション」「新築一戸建て」「中古一戸建て」の4つです。予算的には、中古マンションや中古一戸建てが入手しやすいですが、調達可能な資金と照らし合わせて候補を考えることになるでしょう。
 

持ち家入手の手順

持ち家を入手するための手順(プロセス)は、年代とは関係のないことですが、一般的には以下の流れになると思います。
 

 
表は筆者作成
 
物件購入と並行して住宅ローンの設定がほぼ必要になります。ほとんどの人が初めての経験であり相当の時間を割く必要がありますが、これらの実務は対人との折衝を含めて貴重な経験になるものです。
 

20代で持ち家を所有する意味とメリット

持ち家を所有することは、上記のプロセスから見ても生涯の一大プロジェクトと言えるでしょう。若いときに、一人であるいはパートナーと協力してこのことに取り組むのは、大きな意味があります。必要に応じて親や家族と相談するのは当然のこととなります。
 
物件を探すことから購入への一連のプロセスや、住宅ローンの手続きは30代~40代以降に経験するのが通常ですから、20代にそれを経験するのは貴重と言えます。
 
着手から1年程度の間は、相当の時間を割くことになりますが、得られる経験は大きな価値があるのではないでしょうか。
 
また、そのほかのメリットとして、ローンの返済期間が長期にとれることを始め、将来住み替え物件の入手などの可能性も余裕をもって検討できるのではないでしょうか。
 

まとめ

20代の持ち家所有者の比率が10%以上ある点に着目して、世代別の持ち家率と共に持ち家を希望する背景を年代別に調べてみました。入手の手順は世代ごとに違いはありませんが、20代で生涯の大プロジェクトに取り組むことは、その後の人生にとってプラスになることが多いのではないでしょうか。
 

出典

(※1)国土交通省 人の住まい方 P55

(※2)国土交通省 人の住まい方 P58
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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