「奨学金」はクレカや住宅ローン審査に影響を与える？与えない？

学費や生活費をまかなうために奨学金を借りて学生生活を送る人が増えています。給付奨学金を除けば返済しなくてはならないので、奨学金を借りることは卒業後に借金を抱えることと同じです。奨学金を借りることはクレジットカードや住宅ローンの審査に影響を与えるのでしょうか。
 
今回は、学生の奨学金事情、卒業後の返済額や返済期間、クレジットカードや住宅ローン審査に対する影響などについて紹介します。

学生の約半数は奨学金を借りている

日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査結果」によれば、大学昼間部に通う学生の49.6％、短期大学昼間部に通う学生の56.9％は日本学生支援機構をはじめとした何らかの奨学金を受給しています。大学昼間部の学生は前年と比べると2.1ポイント、短期大学昼間部の学生は前年と比べると1.7ポイント増加しました。大学生や短期大学生が奨学金を受給して大学に通うことは珍しくありません。
 
日本学生支援機構の奨学金には返済不要の給付奨学金と返済が必要な貸与奨学金があり、貸与奨学金のうち第一種奨学金は無利子で借りることができ、第二種奨学金は有利子で借りられます。
 
労働者福祉中央協議会が2019年に行った「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、奨学金の借入総額の平均は324.3万円で、500万円以上という人は12.4％でした。また、毎月の返済額の平均は1万6880円、返済年数の平均は14.7年となっています。
 

奨学金とクレジットカード審査の関係

クレジットカードを作るときは返済能力の有無を判断するため、審査があります。クレジットカードの審査項目の中には他社からの借入額があり、奨学金が他社からの借入に含まれるか気になる人もいるでしょう。奨学金は借入額には含まれないので、奨学金を借りている学生や返済中の人もクレジットカードを作ることはできます。ただし、奨学金の返済を3ヶ月以上延滞した場合は注意が必要です。
 
日本学生支援機構の場合、奨学金の返済を3ヶ月以上延滞すると、個人信用情報機関に異動情報として個人情報や個人信用情報が登録されます。異動情報が登録されてしまうと、クレジットカード審査のために情報を参照した金融機関に経済的信用が低い人だと判断され、審査落ちする可能性があるのです。
 
異動情報に一度登録されてしまうと、延滞している間だけでなく、返済後5年間を経過するまでは約束どおり返済を続けている人として登録され続けます。そのため、5年間はクレジットカードを作成することが難しくなるでしょう。
 

奨学金と住宅ローン審査の関係

奨学金を借りていること自体は住宅ローンの審査に影響を与えません。ただし、3ヶ月以上の延滞を続けた場合は個人情報機関に異動情報が登録されるため、審査に通らない可能性が出てきます。また、個人情報機関には異動情報以外に詳細な返済情報が記録されているので、短期間でも延滞を繰り返していると経済的な信用度が低い人と判断される可能性があり、注意が必要です。
 
奨学金が住宅ローンに影響しないようにするには、なるべく早く奨学金を返済することや返済負担率を下げることがポイントになります。返済負担率は年収に対する借入額の割合で、多くの金融機関では30～35％が上限です。奨学金も返済負担率の計算に含まれるので、住宅ローンを減らすか奨学金を返済する方法で対処していきましょう。
 

奨学金の返済を延滞しなければクレジットカードや住宅ローン審査には影響を与えない

奨学金を借りたこと自体は、クレジットカード審査や住宅ローン審査に影響を与えるものではありません。しかし、3ヶ月以上返済を延滞した場合は個人情報機関に異動情報が登録されてしまうので、審査落ちの可能性が出てきます。異動情報は返済を完了してから5年は消えないので、奨学金の返済を延滞しないことが何よりも大切です。特に有利子の奨学金は早く返せば負担軽減にもなるので、なるべく早く返済するよう心がけましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果　7.奨学金の受給状況
独立行政法人日本学生支援機構 個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録
労働者福祉中央協議会 「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」調査結果の要約（２０１９年３月）
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部