「無断駐輪お断り 施錠し、罰金を請求します」の立て看板は有効?無効?

配信日: 2018.05.15 更新日: 2019.09.02

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「無断駐輪お断り 施錠し、罰金を請求します」の立て看板は有効?無効?
「関係者以外は自転車の駐輪を禁止します。無断駐輪は発見し次第施錠し、罰金5万円を請求させていただきます。」
 
というような内容の看板を見たことはありませんか?
 
お店やビルなどで見かけることのある看板ですが、このような看板は法的に認められているのでしょうか。
 
無断駐輪に悩まされているAさんの案件を参考に見ていきましょう。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

無断駐輪に悩むAさん

Aさんは飲食店を営んでいるのですが、駅前ということもあり、無断駐輪が多く、それによって駐輪場に自転車が入りきらなくなってしまうということが度々発生するようになりました。
 
ついに怒りを爆発させたAさんは次のような看板を駐輪場に立てました。
 
「当店のお客様以外の駐輪は固くご遠慮願います。無断駐輪は発見し次第施錠し、罰金5万円を請求させていただきます。」
 
看板の効果もあり、無断駐輪の数は多少減ったものの、完全になくなることはありませんでした。
 
そこで、Aさんは看板の記載に基づき、無断駐輪の自転車を動かせないよう施錠し、罰金5万円を支払うまで鍵を開錠しないという方針に切り替えました。
 
看板があるとはいえ、このような強硬手段に問題はないのでしょうか。
 
「無断駐輪への施錠」と「罰金5万円」の2つに分けて考えていくことにします。
 

無断駐輪への施錠は許されるのか?

法的手続きによらず、このように実力をもって問題を解決しようとすることは自力救済に該当します。
 
日本において自力救済は原則認められておらず、そのような行為は違法とみなされてしまいます。
 
自転車に鍵をかけ、持ち主が自転車に乗って移動できないようにすることは、自転車としての使い方が害されており、器物損壊罪に該当するおそれもあります。
 
つまり、無断駐輪が相手であっても、施錠して自転車を使えなくしてしまうことは違法行為となり、許されないということになります。
 

罰金5万円という請求に正当性はあるの?金額の妥当性は?

そもそもとして、罰金は刑罰の一種であり、私人が勝手に設定してよいものではないのです。
 
ただ、無断駐輪は他人の土地を勝手に占有しているのですから、不法行為の成立する可能性があります。
 
不法行為の成立する場合、Aさんは無断駐輪した人に対し、不法行為に基づいて損害賠償を請求することができます。
 
とはいえ、罰金として掲げた5万円が必ずしも損害賠償の額として正当であると認められるわけではありません。
 
状況によっては5万円の損害賠償請求をすることも可能ではありますが、全ての人から一律に5万円というのは難しいでしょう。
 

看板を立てたら何をしてもOKというわけにはいきません。

今回のような状況において、結論をまとめると次のようになります。
 
(1)Aさんが無断駐輪された自転車に鍵をかけることは許されない。
(2)無断駐車した人から一律に5万円の罰金(正確には損害賠償となりますが)を払ってもらうことも難しい。
 
とはいえ、無断駐輪が違法な行為であることにかわりはなく、適正な額の損害賠償請求権が否定されるわけでもありません。
 
たとえ被害者であっても、無断駐輪への対応は慎重に行うことが必要だといえます。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー


 

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