いまさらだけど、メガバンク・地方銀行・信託銀行・ネット銀行の違いは何? 貯蓄などで上手な使い分けは?
配信日: 2022.12.08
この記事では、それぞれの銀行の特徴と使い分けについて解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
メガバンクとは
日本では三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が3大メガバンクといわれています。
各メガバンクはフィナンシャルグループ(以下、FG)が親会社として株を有しています。また、それぞれのFGの傘下にはメガバンクの他に、証券会社、信託銀行、信販会社やカード会社などのノンバンクもあり、1つのFGで幅広い顧客サービスが実現できています。
上記の3行は、金融庁所管の都市銀行として登録されていますが、りそな銀行も都市銀行に類します。
しかし、りそな銀行自体が後述する信託銀行と同様の信託業務を行っていることや、りそな銀行が属するりそなホールディングスには中核となる証券会社が2022年10月時点では存在しないことなどから、りそなグループは前述の3大メガバンクが属するFGとは組織体制が異なっています。
メガバンクは大都市を中心に全国に店舗網があるため、都市部に居住する方のほか、例えば全国の主要都市への転勤が多い方などにも向いています。大抵の手続きは取引店以外の支店でもできますし、取引店を住所地の近くに変更することも可能だからです。
地方銀行とは
地方銀行は、横浜銀行、静岡銀行のように銀行名に地名が使われていることが多く、名称からも分かるとおり、特定の地域をメインに営業活動を行っています。
メガバンクの支店がない地域でも地方銀行は支店を設けている場合があり、その地域に居住する方が親近感を持ち、長く利用しているケースを見かけます。地元に住み続け、地域密着型の金融サービスを利用したい方には地方銀行が有効です。
信託銀行とは
信託銀行は、メガバンクや地方銀行と同様に、預金業務や住宅ローンなどの融資業務を行っていることに加え、「信託」と名が付くさまざまなサービスを提供しています。
信託銀行の名称に使われている「信託」とは、委託者が財産を受託者に任せて管理・運用してもらう仕組みのことです。
信託銀行が提供している信託商品としては、例えば教育資金贈与を目的とした信託や、遺族への資金移動を目的とした相続型の信託などがあります。また、一定の資産家や高齢者を対象に遺言の作成、保管、執行をトータルでサポートする遺言信託というサービスも行っています。
信託銀行は、メガバンクが属するFG傘下の場合でも都市銀行と比較すると店舗数が少ないため、普段使いの銀行としての利便性は高くありません。
一方で、信託サービスの提供と併せ、投資商品や不動産情報の提供なども行っているケースがあるため、財産を守る、移す、増やすといったことを考えている方には利用価値があります。
ネット銀行とは
ネット銀行はインターネット専業銀行の略称で、ほとんどの手続きがインターネット上で完了する銀行のことです。
ネット銀行は実店舗がある通常の銀行と異なり、店舗の運営にかかる維持費や人件費などのコストを抑えられる分、各種手数料が安かったり、預金やローンでの金利の条件が対面型の銀行よりも有利な場合があります。店舗網にとらわれないサービス体制のため、全国どこでも同一のサービスが利用できます。
ただし、現金の入出金はコンビニなどに設置されているATMに限定され、1日当たりや1回当たりの取扱金額にも制限があります。そのため、窓口のように数千万円単位などの高額な現金を入出金することは難しいというデメリットがあります。
銀行の使い分けを考える場合
銀行の種類による使い分けを考えている場合、例えば貯蓄では銀行の基本機能として大差はありません。ただし、金利については各銀行で若干の差がありますので、銀行のウェブサイトでご確認ください。
なお、財形貯蓄制度はメガバンク、地方銀行、信託銀行で取り扱っている傾向があります。
まとめ
ここまで説明したとおり、銀行にはいくつかの種類と、それぞれの特徴があります。自身のニーズに合わせた使い分けができるように、各銀行のウェブサイトをチェックしてサービス内容などを把握しておきましょう。
出典
金融庁 銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)
独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部 財形制度取扱金融機関一覧
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)