更新日: 2019.01.10 その他暮らし
「売り手市場」でも過度な選り好みは禁物 職種によっては人手過剰感があるところも?
これだけをみると、まさに売り手市場だからと解釈しそうですが、真意のほどについては、職種別をよく見る必要があります。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
実は、事務職はおしなべて充足感あり
厚生労働省による労働経済動向調査(平成30年2月)では、業種別や職種別労働力過剰感・不足感を明らかにしています。
それによると業種別では、予想どおり宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業(クリーニングや理容・美容業・家事サービス等)・娯楽業(映画館・スポーツ施設・ゲームセンター等)、運輸・郵便業に人手不足感が顕著に表れているという結果でした。
こちらは予想どおりですが、問題は職種別です。「事務」職については、運輸業・郵便業以外「やや過剰」あるいは「過剰」と回答した企業があったと報告されています。
割合としては微々たるものですが(1~5%程度)、これだけ人手不足感が叫ばれている中でも、職種によって売り手市場か買い手市場かということは知っておく必要があります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/1802/dl/roudoukeizaidouko.pdf
労働条件で吟味しすぎると求人票は逃げていく
相談を受けるときに、労働条件(給与や労働時間)で難色を示す人をよく見かけます。とくに売り手市場であることが報道されているため、注文をつけても求人はたくさんあると誤解されやすいです。
最近はみなし残業時間といって、○時間までの残業代は含まれた給与を提示している企業が非常に多くなりました。「残業=ブラック企業」と反射的に拒否反応を示し、「もっと条件のいい企業を」「今は売り手市場だから」と言います。
企業側が求めるスキルをフル装備してから
もちろん労働者は「労働契約・就業規則に基づいて労務を提供し、その対価として報酬を受け取る」のですから、指定された時間分、企業側が求める職務を遂行して企業業績に貢献すればOKです。
しかし前述のとおり、事務職は過剰感・やや過剰感があるとの統計調査が示していることから、事務で就職・転職を希望する場合は1件の求人票に何人もの候補者が応募する椅子取りゲームです。
企業側に歩み寄る姿勢、柔軟な姿勢を示すことができた人が、その椅子に座ることができると認識する必要があります。
卑屈になることはありませんが、あれこれ交渉するのは、ヘッドハンティングされるくらい企業側が求めるスキルや実績を備えてからと心得ておきましょう。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表