更新日: 2022.12.13 その他暮らし

通販に「クーリング・オフ制度」はない!? クーリング・オフ制度を改めて確認

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

通販に「クーリング・オフ制度」はない!? クーリング・オフ制度を改めて確認
ネットショップなどの通販で買い物をしたものの「イメージと違った」「間違えて購入した」などの理由でキャンセルを希望するといったケースもあるのではないでしょうか。
 
訪問販売や電話勧誘販売をはじめ、エステティックサロンなどの契約にはクーリング・オフ制度が適用されます。取引後一定期間(8日間など)なら、消費者が一方的に契約を解除することが可能です。
 
しかし、通販にはクーリング・オフ制度が適用されません。通販会社が定める返品条件に該当しない限り、返品ができない点に注意してください。
 
本記事では、クーリング・オフ制度の概要をはじめ、通販のクーリング・オフ制度の適用状況などについて詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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クーリング・オフ制度の概要

クーリング・オフとは、申し込み手続きや契約の締結後でも、一定の期間内なら無条件で申し込みの撤回、契約の解除が可能な制度です。契約を解除したいと思っても、一度契約を締結したら両者の合意が必要になります。
 
しかし、クーリング・オフ制度は、消費者の意思だけで一方的に契約をなかったことにできるのです。その際に損害賠償や違約金といった費用は発生しません。
 
クーリング・オフ制度は、「特定商取引法」に規定される訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入に適用されます。消費者が申し出ればいつでもクーリング・オフができるわけではなく、図表1のように取引と期間が定められています。
 
【図表1】特定商取引法におけるクーリング・オフができる取引と期間

期間 取引内容
法定書面を受領した日を含めて8日間 ・訪問販売:キャッチセールス、アポイントメントセールスなど
・電話勧誘販売
・特定継続的役務提供:エステティックサロン、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなど
・訪問購入:販売業者が消費者の自宅などを訪問して行う商品の買い取り
法定書面を受領した日を含めて20日間 ・連鎖販売取引
・業務提供誘引販売取引:内職商法、モニター商法など

出典 国民生活センター「クーリング・オフ」より筆者作成
 
また、期間内でも図表2のようにクーリング・オフが適用されないケースがありますので注意してください。
 
【図表2】クーリング・オフができない場合

取引内容 クーリング・オフが適用されないケース
訪問販売
電話勧誘販売
総額3000円未満で商品などを受け取っている、かつ代金の全額を支払った
訪問販売
電話勧誘販売
特定継続的役務提供
消耗品として政令で定められているものを使用し、全部または一部を消費した
訪問販売
電話勧誘販売
自動車

出典 近畿経済産業局「クーリング・オフとは?」より筆者作成
 

通信販売には特定商取引法上のクーリング・オフ規定がない

通販は特定商取引法上のクーリング・オフ規定がありません。クーリング・オフを希望しても適用されない点に注意してください。
 
そもそもクーリング・オフ制度とは、業者にだまされたり脅されたりといった、不意打ち性の高い契約や購入の解除を目的にしています。ネットショッピングや通販のように誰かに強制されたわけではなく、消費者自身の意思で購入した商品は基本的にクーリング・オフの適用対象にならないのです。
  

返品特約に従った返品は可能

通販はクーリング・オフ制度の適用対象外ですが、次のように返品可否や具体的な返品条件といった返品特約を定めています。

・返品の可否
・到着後〇日以内に限り返品可
・使用前の商品に限り返品可
・消費者都合による返品の送料は消費者負担

通販で購入した商品を返品したい場合、まずは通販会社の公式ページなどから返品特約を探してみてください。その際に通販会社や購入した商品によって、返品可能な期間が異なりますので注意が必要です。
 
特に開封済み、商品タグがない、一度でも使用した商品は返品不可となるのが一般的です。また、通販会社が返品特約に返品不可と定めた商品の返品はできません。
 

ネットショップや通信販売にはクーリング・オフが適用されない

通販はクーリング・オフが適用されないため、消費者都合で一方的に購入のキャンセルができません。ただし、通販会社が定める返品特約にて、返品可能としていれば返品は可能です。
 
通販で入手困難品や探していた商品を見つけたときなど、急いで購入したくなることでしょう。そこで冷静に判断して本当に必要な商品かどうかを改めて考えてみることも大切です。そうするだけでも、返品したくてもできないといったリスクやトラブルを未然に防ぐ一歩になります。
 

出典

近畿経済産業局 クーリング・オフとは?
独立行政法人 国民生活センター 身近な消費者トラブルQ&A_インターネットショッピングで購入した商品はクーリング・オフできるの?
独立行政法人 国民生活センター テーマ別特集 クーリング・オフ
消費者庁 通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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