家庭で「核シェルター」を用意するなら最低「700万円」は必要!? シェルターの費用や種類を解説
配信日: 2022.12.20
ただ、核シェルターの普及率が100%であるスイスやイスラエルといった国があるのに対して、日本での核シェルター普及率はわずか0.02%ほどです。そこで、本記事では将来的に核シェルターを用意する際にかかる費用について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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湾岸戦争では家庭用シェルターが弾道ミサイルの被害を軽減
総務省消防庁国民保護室がまとめた「国民保護における避難施設の機能に関する検討会報告書」(平成20年7月)によると、冷戦時代にアメリカやドイツなどで核攻撃に対する地下シェルターが設置されました。
公共のシェルターのみならず家庭でのシェルターの設置が進んでいるイスラエルでは、1991年の湾岸戦争で6週間に約40発の弾道ミサイルが人口260万人のテルアビブ都市圏を中心に着弾し、建物被害が家屋6000強、ビル1300棟に及びました。しかし、人的被害は死者2人、負傷者200人強に抑えられました。
報告書では、イスラエル政府から国民に対するシェルターへの退避行動や爆風の緩和策などが周知されていたことが人的被害の軽減に寄与していると指摘しています。国情は異なりますが、日本国内でもにわかに近隣諸国からの核攻撃への備えを意識せざるを得ない状況にあります。
報告書では弾道ミサイルの攻撃に対する避難場所として、「屋内避難を指示」とし、具体的に「近傍のコンクリート造等の堅ろうな施設」「建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設」を挙げています。
その後、「被害状況を迅速に把握した上で、弾頭の種類に応じた避難」と示しています。ただし、ミサイルの種類が放射性物質を伴う核兵器や生物・化学兵器であれば、避難施設から離れている住民は移動の際に熱風や放射性物質、細菌や有毒ガスによる被害を受ける恐れがあり、自宅退避せざるを得ません。シェルターがあれば一定の安全・安心が担保されることでしょう。
核シェルターの種類は3種類
核シェルターと一口に言っても、家庭用のものを大きく分けると「地下に作るタイプ」「地上に作るタイプ」「屋内核シェルター」の3種類があります。
・地下核シェルター
家を新築する際に設計に入れて作る場合、庭を掘って作る場合などがあります。地下核シェルターは、3つの中では最も安全といわれているものです。
・地上核シェルター
自宅の庭・母屋に併設して設置するタイプの核シェルターです。併設しているため、何かあったときにはすぐに移動できます。また、地下のように階段などを使用しないため、車いすなどを使用している場合や高齢者も利用しやすいです。
・屋内核シェルター
家の中の一部屋そのものを核シェルターにする方法です。例えば、家族が集まるリビングなどを床・壁・天井すべてをミサイルにも耐えられるコンクリートで作ります。また、ドアは核シェルター用、窓は強化ガラスにすることも必要です。
核シェルターにかかる費用は最低でも700万円前後
核シェルターを設置するためには、本体以外にもさまざまな費用がかかります。
・調査費用
核シェルターを設置する前に地盤調査、地下水脈調査、図面作成と建築確認申請が必要です。地盤調査は「スウェーデン式サウンディング試験」で行われることが多く、この方法であれば5万円前後となっています。より詳しい調査ができるボーリング調査の場合は、25~30万円前後です。
地下水脈調査は地下水の水位や水質などを詳しく調査するもので、費用として20~50万円前後となっています。図面作成や建築確認申請は約2~3万円です。合計すると、調査費用だけでも大体30~90万円ほどかかります。
都市計画区域外などの場所に「4号建築物」を建築する場合は「建築確認申請が不要」です。4号建築物とは、木造建築物以外では1階以下、面積がのべ200平方メートル以下のものを指します。
・本体とそのほかの費用
核シェルター本体の価格は広さにもよりますが、例えば、業者に依頼する場合、専用の空気清浄機やドア、緊急避難口、工事費などをすべて含めて600万円前後必要です。大掛かりなものになると数千万円単位のものもあります。
核シェルターは寝室など生活に使用する部屋、外部への出入り口やゴミ・トイレなどを置く部屋の2部屋ほどが必要であると考えられています。合計金額は非常に高額になるため、購入しようと思ってすぐに行動に移すのは難しいかもしれません。
核シェルターは3種類から自宅に合ったものを
家庭用核シェルターは大きく分けて3種類あります。設置するためには調査費用と本体、必要な機器、工事費用などすべてを合わせると700万円前後が必要です。
ただ、これは最低限の金額であり、核シェルターの設置条件次第では数千万円かかる場合もあります。非常に高額な費用になるため、核シェルターを設置する場合は目安の完成日を決めて、それに向けて費用の準備などを計画的に進める必要があるでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部