更新日: 2023.01.31 子育て
大学無償化で「塾費用」が増加? 中・高生の塾費用の平均は?
そのため、同制度の対象になろうとして塾に通う中・高生が増加傾向にあり、当該家庭の塾費用が増えているという話も聞こえてきます。
そこで、実態はどうなっているのか調べてみました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学無償化の概要
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)は「給付型奨学金」と「入学金・授業料」の減免をセットにすることで、家庭の経済状況に関係なく、学ぶ意欲がある生徒に大学などの高等教育のチャンスを与えようという制度です。
・対象になる学生
大学無償化は、「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」の高校生と大学生や専門学校生が対象になります。なお、「成績よりも学ぶ意欲」を重視する点が大学無償化の特徴です。
・給付型奨学金の支給額
大学無償化の「給付型奨学金」の支給額は次のようになっています。
住民税非課税世帯の「第1区分」(世帯年収の目安が270万円)の学生が大学・短期大学・専門学校に通う場合、国公立大学の自宅通学者が約35万円で自宅外通学者が約80万円、私立の自宅通学者が約46万円で自宅外通学者が約91万円です。
高等専門学校(高専)の場合は、国公立の自宅通学者が約21万円で自宅外通者が約41万円、私立の自宅通学者が約32万円で自宅外通学者が約52万円となっています。なお、第2区分(同300万円)と第3区分(同380万円)の学生への支給額は、それぞれ第1区分の額の3分の2と3分の1です。
・入学金・授業料の減免上限額
住民税非課税世帯の第1区分の入学金・授業料の減免上限額は次のようになっています。
国公立大学は入学金が約28万円で授業料が約54万円、私立大学は入学金が約26万円で授業料が約70万円です。
国公立短期大学は入学金が約17万円で授業料が約39万円、私立短期大学は入学金が約25万円で授業料が約62万円です。
国公立専門学校は入学金が約7万円で授業料が約17万円、私立専門学校は入学金が約16万円で授業料が約59万円、国公立高等専門学校の入学金が約8万円で授業料が約23万円、私立高等専門学校の入学金が約13万円で授業料が約70万円です。
なお、第2区分と第3区分の学生の減免上限額は、それぞれ第1区分の額の3分の2と3分の1となっています。
大学無償化は塾費用を増加させているのか?
2020年4月から始まった大学無償化は、給付型奨学金と入学金・授業料の減免がセットになっているため、助かっている家庭は少なくありません。ところで、大学無償化の対象になるために当該家庭の塾費用が増えているという話は事実なのでしょうか。
・中・高生の塾費用の平均
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、2021年の中・高生の塾費用を含む「学校外活動費」の平均は次の通りです。
公立中学の学習費は53万9000円で、そのうち学校外活動費は36万9000円でした。私立中学の学習費は143万6000円で、そのうち学校外活動費は36万8000円です。
また、公立高校の学習費は51万3000円で、そのうち学校外活動費は20万4000円でした。私立高校の学習費は105万4000円で、そのうち学校外活動費は30万4000円です。
・塾費用の増加は大学無償化が原因?
2018年と比較すると、私立・公立どちらの中学と高校でも、2021年の学校外活動費は全体的に増加傾向にあります。ただ、文部科学省の分析によると、年間収入が増加するとともに学校外活動費も増える傾向にあるようです。
大学無償化は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象で、こういった家庭では塾に通わせるだけの経済的余力が乏しい可能性があります。また、成績よりも学ぶ意欲が重視されることから、大学無償化が塾費用増加の原因である可能性は低いのかもしれません。
経済的に進学が困難な場合は大学無償化の申請を検討しよう
大学無償化は2020年4月に始まった国による新たな教育支援制度で、正式名称は「高等教育の修学支援新制度」です。当制度は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学ぶ意欲がある学生などが対象になります。給付型奨学金と入学金・授業料の減免がセットで受けられるため、経済的に進学が困難な場合はためらうことなく申請を検討しましょう。
出典
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
経済産業省 学習塾の動向 少子化とコロナ禍の影響
政府広報 高等教育の修学支援新制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部