更新日: 2023.02.07 子育て

20歳未満の飲酒は、なぜダメなの?

執筆者 : 林智慮

20歳未満の飲酒は、なぜダメなの?
ここ2年ほどは自粛の年末年始でしたが、2022年の年末から2023年の年始は、忘年会や新年会を開催したという方もいらっしゃるでしょう。
 
ところで、2022年4月から18歳で成人となりました。親やきょうだい、大学の先輩や職場の上司の飲酒により、お酒に興味が出てくるかもしれません。しかし、飲酒は20歳からと「未成年者飲酒禁止法(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律)」により禁止されています。
 
未成年が飲酒をすると、罰金があるの? 罰則があるの? 家族を巻き込む事態になり、それだけでは済まないかもしれません。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

なぜ、飲酒は20歳から?

なぜ、20歳まで待たなければならないのでしょうか。
 

1. 脳の機能を低下させます
2. 肝臓をはじめとする臓器に障害を起こしやすくなります
3. 性ホルモンの分泌に異常が起きるおそれがあります
4. アルコール依存症になりやすくなります
5. 20歳未満の者の飲酒を禁ずる法律があります

 
(国税庁「20歳未満の者の飲酒防止の推進」より引用)
 
成年年齢が20歳から18歳に引き下がっても、体や脳の成長が急に2年分成長するわけではなく、18年分の発達や成長しかしていません。成長が追いついていない分、アルコールの分解能力が未発達なのです。発達中の脳や生殖器にダメージを受けてしまうだけでなく、無理な飲み方をしてしまい急性アルコール中毒になるリスクもあります。
 
他にも、酔うと理性のコントロールをしづらくなり、普段起こさないような金銭的なトラブルを起こしたり、事故に遭ったり、暴力事件を起こしたりする危険もあります。治療費や慰謝料など、被害者になっても加害者になっても金銭的リスクは付いてきます。さまざまなリスクは心にも影響をおよぼします。
 

未成年者飲酒禁止法

20歳の未満の者の飲酒は、「未成年者飲酒禁止法(二十歳未満の飲酒の禁止に関する法律)」により禁止されています。
 
この法律は、第一条に、本人、親権者、そして販売者がやってはいけないこと、やらなければならないことを定めています。
 

1. 20歳未満の者は、飲酒してはならない
2. 20歳未満の子の親(監督する者)は、子どもの飲酒を知ったら止めなければならない
3. 酒類を販売する者は、未成年者が飲酒すると知ったら売らない
4. 酒類を販売する者は、購入者の年齢を確認できる方法をとる

 
では、これに違反したらどうなるのでしょうか。これについては第三条に以下の内容が定められています。
 

1. 未成年者と知ったのに酒を販売したら、「50万円以下の罰金」
2. 保護者(監督者)が子どもの飲酒を知って止めなかったら、「過料」

 
20歳前の者を、親や社会で守っていこうという内容です。飲酒した本人には罰則はありません。しかし、子どもの飲酒を知っていたのに止めなかった親には、前科はつかないものの金銭的負担を強いられます。それだけ、親が子どもを飲酒から守る責任は大きいのです。
 

ちょっとだけ・・はダメ!

まず、親権者が「20歳前で飲酒は絶対にダメ!」といった毅然とした態度をとりましょう。「正月だから、ちょっとだけ……」など、例外はつくらないことです。
 
飲酒は、成長途中の子どもの脳と体に影響をおよぼします。子どもの持って生まれた能力の発達が、飲酒により止められてしまいます。つまり、子どもの将来に影響をおよぼすのです。
 
子どもの一生に関わる問題です。その「ちょっとだけ」の飲酒は、「ちょっとだけ」では済まされないことなのです。20歳前の飲酒と、子どもの将来、どちらが大切かは考えるまでもありません。
 
また、前述のとおり、子どもが飲酒することは法に触れるため、金銭的な負担を強いられる可能性があります。家族のため、家計のために使うべき大切なお金を、このようなことに使ってはいけません。
 
なぜ飲酒がダメなのか、子どもに理由をしっかりと説明しましょう。子どもが成長するにつれ親子の会話は少なくなってきますが、常日頃からコミュニケーションをとり、ちゃんと話ができる関係であることが大切です。
 
また、大学生・社会人になると、高校生の頃と違い、行動範囲が広がります。先輩や上司にすすめられて断り切れずに飲んでしまうかもしれません。親が守れないところでは、子どもは自分で自分の身を守らなければなりません。
 
大学生になればアルバイトをする人も増えてくることでしょう。初めての仕事、初めての給料。収入を得ることの喜びを感じたのもつかの間、違法と分かりながら飲酒にお金を使ってしまうのは、大変もったいないです。
 
子どもに「飲酒の断り方」を伝える際に、以下の「飲酒を断る言葉」を参考にするとよいでしょう。断る言葉をあらかじめ知っておくと、いざというときに言葉が出やすいものです。
 

「飲酒がやめられなくなったら困るので飲みません」
「体と心によくないから飲まないよ」
「脳の発達を妨げるんだって」
「法律で禁止されているよ」
「大人が子どもにお酒をすすめるのはかっこ悪いよ」
「事故に遭いたくないから飲まない」
「お酒には興味がないので」

(引用:厚生労働省「アルコール健康障害普及啓発パンフレット『子どもにお酒を飲ませてはいけない~未成年者の飲酒を防ぐために~』」)
 
20歳前の飲酒は法律で禁じられています。そして、あなたの将来を守るため、きっぱりと断りましょう。
 

出典

国税庁 20歳未満の者の飲酒防止の推進

厚生労働省 子どもにお酒を飲ませてはいけない~未成年者の飲酒を防ぐために~

e-GOV法令検索 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律

 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション