【育休明けの退職】職場復帰するつもりだった…。給付金や社会保険料は返さないといけない? 注意点はある?
配信日: 2023.03.19
「本当は働きたいけれど、いろいろ大変で身がもたない! やっぱり仕事を辞めるしかない」と決断するパターンも考えられます。この場合、これまでに受け取った育児休業給付金や社会保険料は返さないといけないのでしょうか。
本記事では、育休明けも働くつもりだったけど、退職せざるを得なくなった場合の注意点を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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育休明けの退職は違法?
やむを得ず育休明けの退職を考える場合、「いままで受け取った育児休業給付金は返さないといけない? 社会保険料の免除は無効になる?」などの疑問や不安が出てくるかもしれません。
結論からいうと、仮に育休明けにすぐ仕事を辞めても違法ではありません。
ただし、実際は企業側も育休からの復帰を前提に人事配置等をしていることが多く、すぐに辞められると新しい人材を採用したり、他部署から異動してもらったりする必要性に迫られる可能性もあります。
そのため、本当は仕事を続けたいけれど家庭の事情で辞めるしかない場合でも、周りへの配慮やフォローは必要です。
育児休業給付金は返さないといけない? 社会保険料は?
育児休業給付金は基本的に、復帰を前提に仕事を休む人に雇用保険から支給されるものです。そのため、育休中に退職すると育児休業給付金の支給も止まります。
やむを得ず結果的に育休明けにすぐ退職したとしても、返金する必要はありません。
ただし、最初から退職する気持ちが強く故意に育児休業給付金を受け取ったり、本当は育児をしていないのに給付金をだまし取るなど不正を働いたりした場合は、返金を求められることがあります。
特に不正な手段で育児休業給付金を受け取ったり、受け取ろうとしたりした場合は不正受給処分を受け、受取金額の3倍の金額を納付しなければなりません。場合によっては事業主(勤務先)も連帯責任を負う必要があるので注意しましょう。
育休中は、厚生年金や健康保険の保険料納付が事業主負担もあわせて免除されます。また、免除されても保険料を納付したものとみなし、将来の年金額にも反映されるメリットがあります。育休明けに退職した場合「免除された保険料は無効になるのか」と心配になるかもしれませんが、こちらも原則無効にはなりません。
育休明けに退職するときの注意点
やむを得ない事情があっても育休明けの退職は、法的には問題なくても企業や同僚に大きな影響を与えます。そのため仕事の辞め方によっては企業に損害を与え、あなた自身の信用を失墜させてしまうおそれもあります。
思わぬ損害を被らないためにも、まずは念のために育休期間を確認し、有給休暇がある場合は全て消化しましょう。育休中に退職するのと育休明けに退職するのとでは、給付金や社会保険料の扱いを含めて全然違ってくるからです。
退職理由は、正直に伝えることをおすすめします。場合によっては育休延長、時短勤務やフレックスタイム制の提案、残業が少なく働きやすい部署への異動等、臨機応変に対応してくれることもあります。
なお、保育園に通うことが決まっている場合、退職すると退園を求められることもあります。退職後にまた働きたいと思っても再就職が難しかったり、就職できても有給休暇や時短勤務等がすぐに使えなかったりなどのデメリットもあるので注意しましょう。
まとめ
企業としては辞められるよりは、時短勤務などの制度も使いながら仕事を続けてくれるほうが、採用や育成の手間、コスト面などを考えてもよいことが多いです。
「退職したけどやっぱり辞めなければよかった」と後悔しないためにも、「育休が明けたら職場復帰するつもりだったけど子どもの世話が大変で退職せざるを得ない」と思ったら、まずは職場の上司などに正直に伝えて相談してみましょう。
出典
厚生労働省 育児休業給付金の内容と支給申請手続
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部