更新日: 2019.01.11 その他暮らし
富裕層のイメージから若者に!?投資用マンションを購入する若者が増えている謎
今「局所バブル」という言葉も聞こえてきて、都心を中心にマンションの値段が高騰しています。
そんな中で、投資用マンションの購入者に若年層が増えているようです。
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
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若者が不動産投資を始める3つの理由
先日、投資用マンションの仲介を手掛ける不動産会社の社長の話を聞く機会がありました。
その会社では、物件の購入者は20~30歳代が多いとのことで、先月は契約者の4割が20歳代だったそうです。会社の営業方針などの理由があるでしょうが、それにしても驚きです。
不動産投資をするメリットは、インフレ対策などいくつかあります。社長によると、若年層が購入を決断するポイントになっているのは、以下の3つだそうです。
1.将来の年金への不安から、自助努力で私的年金を作る必要がある。
“寿命は延びているのに、将来受け取る年金は減らされる”若年層には、この暗い話が刷り込まれています。バブル世代と違って、若年層は堅実です。
“何とかなるさ”と済ませることなく、20歳代から老後のことまでも考える人が多いです。
「年金の不足分は、自助努力してください」「お金を貯める→増やしましょう」という意味合いでiDeCoや積立NISAに誘導され、運用商品が注目されています。
これらの金融商品とは別の手段として登場するのが「投資用マンション」です。家賃収入が老後の私的年金となります。
2.ローンを組んで購入することが保険になる。
投資用マンションを購入する時に、ローンを組むことで団体信用生命保険に加入しますので、万一の時に家族にそのマンションを残すことができます。
毎月の家賃収入が収入保障保険(給料のように毎月年金を受取れるタイプの死亡保障保険)の役割を果たすことになります。これから結婚し家族が増えていくことを想定した時、保険としての機能は魅力的です。
3.収支のマイナスは、確定申告することで節税対策になる。
家賃収入と(ローン返済額+諸経費)を比べた場合、マイナスになる場合があります。マンション経営から生じたマイナスを給与所得と損益通算することで、節税対策をすることができます。
リスクを知って始めるのが安心
投資用マンションを始めるにあたり、社長のお勧めは単身者用物件といいます。自己資金・借入金額・返済額・管理費……。一番小さい不動産なのでリスクが小さいという理由です。単身者が増える状況下で、需要も見込めます。
投資用マンションの購入の後押しとなっているメリットを見てきましたが、リスクも押さえておく必要があります。
地震などの災害・借入金利の上昇・物件の老朽化、補修費用・築年数による家賃下落など諸々考えられます。
一番のリスクは空室ではないでしょうか。投資用物件については家賃を保証している事業者も多いですが、諸条件がありますので、よく確認する必要があります。トラブルも多いようですので要注意です。
家賃収入が途絶えてしまうと、家賃収入でローンを返済するというサイクルが大きく狂ってきます。
ローンの完済後であっても管理費等の経費は掛かります。家賃を下げることで解決できれば傷は少なくて済みますが、借り手が見つからない期間が長くなると、深刻な問題となってきます。
借り手がつきやすいように、駅から近いなど利便性のある物件を選ぶことが大切です。
またローンの金利が住宅ローンに比べて高いことも、抑えておきたい点です。3000万円を35年で返済する場合、金利1%なら毎月返済額は8万4685円、総支払利息は556万7700円です。
これが金利2%なら毎月返済額は9万9378円、総支払利息は1173万8000円となります。
購入を反対するつもりはありませんが、長期的に保有することを前提に投資用マンションを購入する場合は、こうしたリスクを踏まえておくと安心して始められるのではないでしょうか。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士