更新日: 2019.01.11 その他暮らし
人が住んでいない家が日本全国で800万ある!? 日本にはどれほどの空き家はあるのか
空き家が増えるといろいろ問題が生じることから、法律(空家等対策の推進に関する特別措置法)を定めて国や自治体で空き家対策を強化しています。
実際、日本全体にどれほどの空き家があり、どれだけ増えているのか調べてみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
空き家数は全国で約820万戸
総務省の住宅・土地統計調査で5年毎に住宅総数や空き家数、空き家率等を調査しています。
直近(平成25年)の調査結果によると、日本全国の住宅総数・空き家数・空き家率は次のようになっています。
住宅総数……6062万8600戸
空き家数…… 819万5600戸
空き家率……13.5%
住宅総数に対する空き家数の割合が空き家率です。日本全国には6063万もの住宅があり、そのうちの13.5%にあたる約820万戸が人の住んでいない空き家となっています。
空き家にはいくつかの種類があり、統計では下記に分類して調査しています。
二次的住宅 別荘……週末や休暇時に避暑・避寒・保養等の目的で使用される住宅
二次的住宅 そのほか……残業等で遅くなったときに寝泊まりする別宅、たまに寝泊まりする人がいる住宅
賃貸用の住宅……新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
売却用の住宅……新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
そのほかの住宅……賃貸用・売却用以外の人が住んでいない住宅で、転勤等で長期不在や建て替え等のために取り壊す予定の住宅
別荘等の二次的住宅は、時々ではあるけれども使用している住宅です。
賃貸用の住宅は借りて住む人が現れるまでは空き家、売却用の住宅は買って住む人が現れるまでは空き家です。
その他の住宅は住む人が誰もいない空き家です。約820万戸の空き家の内訳は下記のとおりです。
資料:総務省平成25年住宅・土地統計調査
空き家の内訳を見てみると、全体の9割以上が賃貸用の住宅(約429万戸)かその他の住宅(約318万戸)です。
人口が減少し持ち家率が高まっている現状では、賃貸の入居者を見つけることは簡単ではありません。
競争力のない賃貸住宅は解体するなり転用するなり何らかの対策を講じなければ、空き家を減らしていくことは難しいでしょう。
その他の住宅には、住んでいた人が亡くなって誰も住まなくなった住宅も含まれます。
親族は近隣の迷惑にならないよう、空き家を放置せずに貸す・売る・解体する等の対応を早めにしていってほしいものです。
空き家は今後も増え続ける可能性が高い
平成25年の調査では空き家が820万戸もありましたが、いつからこんなに増えてしまったのでしょうか? 空き家数と空き家率の推移(5年毎)を昭和48年からグラフにしてみました。
資料:総務省平成25年住宅・土地統計調査
空き家数は昭和48年に約172万戸で、5年毎に53万~129万戸増えています。空き家率も同じように昭和48年の5.5%から上がり続けています。
昭和48年から平成25年にかけて世の中は大きく変わっていますが、空き家は増加数の多い少ないはあっても、常に右肩上がりで増え続けています。人口も世帯数も増加が期待できない時代、今後もしばらくは上がり続けていくでしょう。
核家族化や単身世帯の増加により、人口と必要な住宅数の増減は必ずしも連動しません。
しかし、少子化により親の家を継ぐ人がいなかったり、仕事等の都合で地方や郊外の家を子が継がなかったりするケースは多く、現状は中古よりも新築が好まれる等、空き家が増える要因はいろいろあります。
日本中が空き家だらけにならないよう、国や自治体だけでなく個人においても意識を大きく変えていく必要がありそうです。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士