副業禁止の会社でもとがめられにくい「自分の書いたビジネス書を出版」~これを実現するには?
配信日: 2018.07.15 更新日: 2019.01.07
副業禁止の会社であっても、「自分の本を世に出す」ということに関しては止められないのではないかと思います。ペンネームで出版するということも可能でしょう。
本といっても、小説のように特別な才能が必要なものではなく、いわゆる「ビジネス書」を書きたい人。
たとえば自分が経験してきたことや身につけた知識、考え方などを本として世に出したい人は少なくないでしょう。
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
本屋さんやアマゾンでちゃんと販売される本を書きたい
電子書籍ではなく紙の本。しかも自費出版ではなく、出版社を通じて町の本屋さんやアマゾンなどで販売される本を出版することが多くの人の希望でしょう。それを「商業出版」といいます。
「商業出版」の場合、出版社の編集者とテーマを決め、会社勤めのスキマ時間に原稿を書き、編集者の指導を受けて直します。けっこうたいへんです。10万字ぐらい書くと思ってください。
そして出版契約を結び、無事出版されたら「印税」を受け取ります。無名の著者だと本の価格の8~10%。8%を下回る印税もあります。正直、出版業界はきびしいので、はじめて本を出す人にはもっと条件は悪くなるかもしれません。
最初に出版する「初刷りの部数」に本の価格をかけ、それに上記のパーセンテージをかけたものが、著者の受け取る金額になります。うまく販売が伸び、「増刷」された分の印税はその都度加算される契約が多いです。
たとえば、本の価格1500円として印税が8%、初刷りが2000部とします。すると約24万円が著者分となります。
しかし、自分の出費はありません。出版社がリスクを負うのです。ですから、出版社は売れる本を作らなくてはならないので、きびしく指導されます。
それでも印税だけでなく、「本を出版した」という事実が世の中に広まると、「ビジネス書の著者」として、自分のブランディングにとても役立つでしょう。
一度本を出して、ある程度売れた人にはいろんな出版社から依頼が舞い込みます。つまり、「数字を持っている人」になれるわけです。
「そうか~。じゃ自分も本を出したい」といっても、カンタンに出版社が応じてくれることはあり得ません。
なんといっても、「最初に本を出す」ところまでたどり着くのがたいへんです。まずは出版社の編集者とめぐりあうことです。代表的な方法を紹介します。
■ブログやソーシャルメディアで人気を集めること
編集者も「本にしたい素材」をいつも探しています。ブログを書くと、それが編集者の探しているテーマと近い場合、声がかかる確率は高まります。
また、そういった編集者の目に触れやすいように、SNSで自分のブログを拡散しておくことも大事です。
■出版社の企画会議に参加すること
出版社によっては、定期的に著者発掘のためのセミナーを開いています。たとえば同文館出版(東京・神保町)は「ビジネス書出版会議」というセミナーを全国で開き、ビジネス書の企画プレゼンを受け付けています。
参加すると、出版のプロから企画にきびしい指摘を受けて成長することができます。その会議から著者になった人も多くいます。
どちらの方法にしても、そうカンタンな道のりではないのは確かです。しかし自分の書籍が出たときのうれしさは例えようがないものです。会社勤めのかたわら「本を出す」という目標を持ってはどうでしょう。
気をつけたいのが、出版社とはあまり関係ない人間が、同様のセミナーを高額な参加費で開いていることがあります。あまり高額な参加費をとるものには注意が必要です。
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家