更新日: 2019.01.11 その他暮らし

マイホームの『持ち家率』から読み取る 日本一持ち家率が高い都道府県はどこだ

執筆者 : 松浦建二

マイホームの『持ち家率』から読み取る 日本一持ち家率が高い都道府県はどこだ
マイホーム(自宅)の持ち家率は全国平均で80%を超えており、所有志向がとても高いですが、都道府県ごとに見てみると意外と大きな差があります。
 
また、持ち家率を10年前と比べて見ると全国的には高くなっていますが、中には大きく低下している都道府県もあります。マイホームの所有に関して都道府県によってどのような違いがあるのかを調べてみました。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

持ち家率は都道府県によって30%以上の差がある

総務省の全国消費実態調査では、5年毎に家計の構造を所得・消費・資産の3つの側面から総合的に調査しており、その中にはマイホームの所有に関する項目もあります。
 
都道府県ごとの持ち家率(現住居)を確認できるよう、グラフにしてみました。全国平均は一番左に載せてあります。


資料:総務省全国消費実態調査(平成26年)
 
平成26年の調査によると、日本で1番持ち家率が高いのは富山県(95.0%)で、全国平均(82.4%)を12.6%も上回っています。
 
2番目も北陸地方の福井県(94.0%)、3番目は福井県の隣の滋賀県(93.0%)、4番目はその滋賀県の隣の三重県(92.8%)となっています。持ち家率の高い都道府県が比較的固まっている理由は定かではありませんが、県民性や気候、住宅会社の努力等に何かポイントがあるのかもしれません。
 
持ち家率の最も低い都道府県は沖縄県(62.6%)で全国平均を19.8%も下回っており、2番目に低い福岡県とも11.1%の差があります。
 
他に長崎県(74.4%)や鹿児島県(77.2%)、宮崎県(77.3%)、佐賀県(79.1%)等、九州は持ち家率の低い県が多く、全国平均を上回っているのは熊本県だけです。大都市のある東京都(75.3%)と大阪府(77.9%)も持ち家率は低い方に入っています。
 

10年で持ち家率が山梨県は11%増、佐賀県は7%減

持ち家率が、昔に比べてどのように変わっているのかを確認するために、平成26年の持ち家率を10年前の平成16年と比べてみました。グラフでは平成26年の持ち家率が特に高い都道府県と、特に低い都道府県を載せてあります。


資料:総務省全国消費実態調査(平成16・26年)
 
持ち家率の10年間の変化を見てみると、全国平均が80.3%から82.4%へ上がっていることから、グラフに挙げた都道府県の多くで上昇しています。
 
例えば、富山県は3.9%、福井県は5.0%、徳島県は6.6%も上がっています。グラフには載せていませんが、この10年間で最も持ち家率が上がったのは山梨県で、実に11.2%も上がっています。
 
山梨県は空き家率が高いですが、借りている人が県外へ出て行ったり空き家を安価に購入したりして、結果的に持ち家率が上がったのかもしれません。空き家率の高さと何らかの関係性がありそうです。隣の神奈川県も7.1%上がっています。
 
その一方で、持ち家率が下がっている都道府県もあります。グラフでは、岐阜県(−1.8%)、山口県(-1.1%)、佐賀県(-6.8%)、宮城県(-2.9%)、沖縄県(-2.7%)が下がっており、特に佐賀県は全都道府県の中で1番下がっています。
グラフ以外でも青森県(-4.9%)等、全国で15の府県で下がっています。気になるのは東北地方で、岩手県(1.2%)・秋田県(3.0%)・山形県(3.1%)は持ち家率が上がっていますが、青森県(-4.9%)・宮城県(-2.9%)・福島県(-0.7%)は下がっています。東北地方太平洋沖地震による被害が持ち家率に影響しているのかもしれません。
 
全国平均では80%を超える持ち家率も、都道府県別に見れば、95.0%から62.6%まで大きなバラツキがあります。また10年間で持ち家率が11.2%も上がっているところがあれば、6.9%も下がっているところもあります。
 
都道府県による差は、個々のマイホームに対する考え方の違いだけでなく、住宅購入のしやすさや世帯構造の違いなど、さまざまな要因が絡んで数字に表れているのではないでしょうか。
マイホームを所有するか賃貸するか悩んだ時は、このような統計も参考にしてみてください。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士