更新日: 2019.01.10 その他暮らし
自分は大丈夫と思ってませんか?今だから、ぜひ考えたい自分なりの大地震への備え。
関西では阪神淡路大震災が起こっており、すでに経験があると思われるかもしれませんが、今回の地震の地域は関西とはいっても、以前の大地震では被害の少なかった地域といえます。
地震大国日本では、いつ、どこで地震が起こってもおかしくありません。今回は地震の備えについてお話しします。
Text:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
赤紙黄紙は何のため?
地震直後に崩れそうな建物がたくさんあり、この建物に入っていいの? という場合、皆さんは何で判断しますか?
地震が起きた場合、建築士などが各地域を回って、赤紙、黄紙、緑紙を貼っていきます(一般財団法人 日本建築防災協会のホームページ参照)。
この張り紙は、「立ち入り禁止」「注意」「安全」を意味するところですが、この紙は臨時の処置ですから、何らかの強制力を伴うわけではありません。ですから、この紙が貼ってあったことで、立ち入っても罰があることもなく、あとでこの基準に基づいて何らかの補償や給付があるということでもありません。
地震が起きたあと、自分の居住している建物にこの紙が貼ってあっても、必ず住いの自治体に罹災証明書の申請をしないと何の補償も受けられませんので、注意してください(参考:大阪市の罹災証明書発行ページ)。←要リンク(http://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000369424.html )
地震保険の「きほんのき」
地震保険の目的は生活の再建です。被害を受けた場合、日常生活に取り戻すためにどれくらいの金額が必要なのかを考える必要があります。
公的な備えとしては、住宅復興のために最大300万円程度が出るといえど、これは充分な額とはいえません。そこを補うのが民間の地震保険となりますが、地震保険は火災保険とセットで申し込みをするものです。
火災保険と同様に建物、家財は別々に加入でき、火災保険の金額の30〜50%の範囲で建物は5000万円、家財は1000万円が限度額となります。
ただ、保険ですべてに備えられるわけではありません。地震保険の保険金額は、被害によって異なりますが、全損、大半壊、小半壊、一部損という状態のどの基準に該当するかが、損害保険会社の調査員によって判断されます。
しかし、これは火災保険とセットにされている地震保険の話。自治体の発行した罹災証明書があれば、すぐに費用が支払われる地震費用保険や兵庫県住宅再建共済制度(愛称:フェニックス)など、保険に備える商品には他の選択肢もあることを覚えておきましょう。
ちなみに、2019年1月に地震保険の保険料率の改正が予定されています。2017年1月から始まったもので、3段階で上がる予定の第2弾が行われます。全国平均3.8%上がりますが、なかには約14.7%上昇する地域もあります。
保険で備えるか、自分で頑張るか、のポイント
地震調査委員会は26日、今後30年以内に震度6弱以上の大地震にあう確率を示す「全国地震振動予測地図」を公表しました。
これによると大阪北部地震の震源に近い高槻市では22.7%。関東北部では千葉市で85%と、地震がどこで起きてもおかしくない状況です。自分は大丈夫なんて思わず、普段の過ごし方が非常に重要です。
そこでポイントとなるのが、地震に備えるのは自助努力にするのか、保険で備えるのかという点です。災害が起こったときに、すぐに元どおりになることは望めません。まったく元どおりが望めないとなると、じゃあ最低限戻すのに必要な金額を考えることです。
家を取得するときに費用をかけすぎてしまうと、手持ち資金がほとんどなくなっている人がいます。そうなると、家の取得後に、子供の教育費が足りなかったり、何らかの歪みが出たりするのですが、ある程度の余力を残すというのも自助努力といえるでしょう。
保険で備えるというのであれば、保険料を払えるかどうかというのがポイントとなります。
2019年1月地震保険の保険料率の改正が予定されていますが、2018年にはすでに終身保険など貯蓄性の保険の料率も改正されました。今後も、保険は備えであると同時に資産配分を考えるうえで、とても重要なポイントとなります。
どれくらいなら保険をかけ過ぎなのか、それとも不足しているのか、の判断はなかなか難しい問題です。それは、金銭感覚は人それぞれだからです。ぜひ今、地震が起こったときに、日常を取り戻すための自分なりの再建費用を試算してみてはいかがでしょう。
Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)