更新日: 2023.06.08 その他暮らし
隣家が「ごみ屋敷」で困っています…。無許可で勝手に清掃することは可能ですか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
隣家がごみ屋敷でも勝手に清掃はNG
隣家がごみ屋敷だからといって勝手に隣家を清掃したり、清掃業者を呼んで清掃させたりするのは基本的にNGです。
ごみにも所有権があり、それを勝手に処分したり片付けたりすることは財産権を侵害したということで法的問題に発展する可能性があります。そのため、いくら隣家がごみ屋敷で困っていたとしても勝手に清掃業者を呼んで清掃させることはできません。
ただし、隣家のごみが飛んできて自宅が汚れるという場合はその汚れについては自分自身で清掃してしまっても問題ないでしょう。汚れの程度や広さ、自宅のあるエリアなどにもよりますが、自宅の外回りのみや駐車場のみなど限られた範囲であれば清掃費の相場は1万3000円前後になることが想定されます。
仮に、隣家の承諾を得て家の中を掃除するために清掃業者を呼ぶとしたら、その費用はかなりの額を覚悟することになります。ごみの量や汚れの度合い、家の広さなど諸条件にもよりますが、少なくとも20万円程度は覚悟をする必要があるでしょう。
場合によっては40万円、50万円と超高額になる可能性もあります。相場も一概にいえるようなものではなく、気軽に呼ぶことが難しい金額になることが予想されます。
費用を隣家に請求することもできますが、金額が高額になると本人の支払い能力では負担できない場合もあります。自身で清掃業者へ依頼をすることは現実的ではないといえるでしょう。
ごみ屋敷に困っているときの相談先は?
隣家のごみ屋敷問題に困っているときの相談先としては、自治体や弁護士などのほか、警察や消防が候補に挙げられます。
特に、ごみ屋敷の存在は空き家問題と並んで社会問題化しており、解決に力を入れている自治体も少なくありません。場合によっては迅速に担当部署が動き、最小限の負担で解決できることもあるようです。
また、ごみ屋敷が賃貸物件であるような場合は、貸し主に連絡することも有効です。通常であれば貸し主が借り主に注意をしたり、場合によっては清掃したり借り主との契約を解除したりするなどして改善がされる場合もあります。
なお、隣家がごみ屋敷となっているときでも、本人に直接苦情を入れるのはやめておくべきです。ごみ屋敷になっているのには何かしら理由があるからです。直接相手に指摘することでそれが刺激となって攻撃されてしまうなど、状況がエスカレートする可能性もあります。
余計な近隣トラブルを増やさないためにも、ごみ屋敷問題は第三者を通じて解決を図ることが原則だと覚えておいてください。
管理不全土地・建物管理制度の検討も
「管理不全土地・建物管理制度」の利用も検討してみてください。この制度は、管理が適切に行われておらず、周囲に危険や悪影響を生じさせる土地や建物を対象に申し立てをできる制度です。ここでいう「危険」や「悪影響」にはごみ屋敷の虫害や臭気による損害を被っていることも含まれます。
本制度が申し立てられ、請求が認められると管理人が任命されることになり、より確実な問題解決が期待できます。申立先は不動産が存在する場所を管轄する地方裁判所になります。
隣のごみ屋敷問題についてはまず自治体に相談を
ごみ屋敷の存在に悩んだときは、自ら清掃業者を呼んで対応するのではなく、第三者を通じて解決にあたるようにしてください。
特におすすめの相談先は自治体です。ごみ屋敷を規制できる条例の存在する自治体であれば素早い対応を期待できます。業者に依頼して清掃をしてもらうのは、費用面や権利面も含め現実的ではないことを知っておいてください。
執筆者:柘植輝
行政書士