更新日: 2023.06.16 子育て
【大学生の生活費】自宅か下宿かで「72万円」の差!? 今からできる資金準備について解説
大学進学には大金が必要なため、子どもが志望する大学に進学させたい反面、費用面で頭を抱える保護者も多いのではないでしょうか。
大学進学にかかる費用を把握し、親子ともに納得した進路選択ができるように、入学前から計画的に進路についての検討や資金繰りなどの準備をしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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下宿生の生活費は約110万円! 居住形態の違いでは年間72万円の差
日本学生支援機構が発表した、2020年度における大学生の学費を除いた年間生活費(以下、生活費)は、自宅生38万7000円、下宿生110万8000円です。4年間に換算すると、自宅生154万8000円、下宿生443万2000円になります。
自宅生と下宿生の生活費の差は1年間で72万1000円、4年間では288万4000円と、大学在学の4年間で300万円弱の費用の差が発生することがわかります。
居住形態の違いでここまで大きな金額の差になると、家計にとって大きな影響が出るのではないでしょうか。
私立大学と国公立大学の授業料の差額は年間で約40万円
文部科学省が報告した、2021年度における国公私立大学の年間授業料と入学料を図表1にまとめます。
【図表1】
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移より筆者作成
各大学の授業料は、国立大学が53万5800円、公立大学が53万6363円、私立大学が93万943円であり、私立の授業料は国公立の約2倍です。
また、入学料を加えた大学4年間の総額を簡易的に計算してみると、国立で242万5200円、公立で253万6757円、私立で396万9723円となり、進路によって必要な学費は大きく変わりします。
進学の諸費用に備えるために今からできること
学費や入学金、生活費を合わせると、大学在学中の4年間で約400万円から800万円前後の金額が必要です。
これだけ大きな金額になると、すぐに用意できるものではないため、計画的に準備する必要があります。これらの費用に備えるには「総額でどの程度必要なのか」「どのようにして資金を用意すればいいのか」を理解し、対策しておくとよいでしょう。
進路について子どもとしっかりと話し合う
大学・短期大学・専門学校等学校の種類はもちろん、志望校は国立・公立・私立のどれにあたるのか、自宅から通えるか通えないかなど子どもの志望する進路によって、必要費用は大きく変わります。そのため、子どもの意向を十分に聞きながらも、家計の状況をふまえて進路を決める必要があるでしょう。
普段から子どもと良好な関係性を築きつつ、早いうちから進路について話すことで、子どもによりよい環境を用意できるだけでなく、費用総額の削減にもつながる可能性があります。
進学に備えて計画的に貯蓄しておく
大学進学にかかる必要な資金は、できるだけ計画的に準備しておくのが理想です。
2021年度の高校生の進路に関する保護者調査において、学費と生活費をカバーするために保護者が必要と考えるものでは「預金の切り崩し」が87.0%と最多となっており、そこまでに切り崩せる預金等を準備しておくことがポイントとなってきます。
学資保険や投資を検討する
計画的に貯蓄できるか不安な人や、もしもの場合に備えたい人は、学資保険を利用するのがよいでしょう。学資保険であれば、出費が多い時期でも定額の積み立てが可能で、万が一の場合に支払いができなくなった際は、それ以降の保険料の払い込みが免除されます。
また、少額投資非課税制度(NISA)などの投資により複利の力を利用することで、高額な進学費用を準備することも期待できます。時期によっては元本割れするリスクもありますが、預金や学資保険に比べて多くの金額を準備できる可能性は高くなります。
公的な教育ローンや支援制度を活用する
大学生活に必要な高額な費用に預金のみで対応できない場合は、奨学金や教育ローンなどを利用するのも1つの方法です。
日本政策金融公庫が行っている公的な教育ローンであれば、子ども1人あたり原則350万円(条件によっては450万円)まで融資を受けることができます。子ども1人あたりに応じての親の収入の条件はありますが、固定金利1.95%と、金融機関の教育ローンより好条件で借り入れが可能です。
奨学金制度には「給付型奨学金」と「付与型奨学金」があり、家計の状況や子どもの成績に応じて利用できるものや金額が決定します。子どもに学ぶ意思はあっても家庭の事情で進学ができない場合でも、奨学金を利用することで志望する大学に進むことができるかもしれません。
まとめ
大学4年間で必要な総額は、400~800万円程度ですが、下宿して大学に通学する場合は、自宅生に比べて年間費用が高額になる可能性があります。
そのため、進路は慎重に選ばなければいけませんが、子どもの進学を思いきり応援してあげられるように、学資保険や投資など自分に合った方法で準備していきましょう。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について (参考2)国公私立大学の授業料等の推移
日本政策金融公庫 教育一般貸付(教育ローン)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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