更新日: 2023.07.05 子育て

不足する子どもの教育費を賄う方法 「奨学金」 or 「教育ローン」

執筆者 : 高橋庸夫

不足する子どもの教育費を賄う方法 「奨学金」 or 「教育ローン」
子どもの教育資金は家計における三大資金といわれ、国公立または私立大学など進学先や、子どもの人数によって、大きくその負担額が変わってきます。少しずつコツコツと教育資金を準備してきたにもかかわらず、いざ実際の進学先が決まった段階で、資金が不足する場合もあり得ます。
 
その際の選択肢となる「奨学金」と「教育ローン」について、両者の概要やそれぞれの違いについて、あらためて確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

奨学金について

奨学金にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは、日本学生支援機構(JASSO)が行っている奨学金制度です。同機構には、貸与型と給付型の奨学金がありますが、ここでは貸与型の制度について確認します。
 
貸与型の奨学金制度には、無利息の第一種奨学金と利息付の第二種奨学金があります。また、両者を併用して利用することもできます。利用条件には、家計基準(世帯の収入要件)と学力基準(本人の学力要件)がありますが、当然ながら無利息の第一種奨学金の方が、厳しく基準が設定されています。
 
教育ローンとの最も大きな違いは、利用者が学生本人であるという点です。そのため、奨学金の返還義務は、原則として将来的に学生本人が負うことになります。見方を変えれば、親が子どもに自らの教育費の負担を背負わせることになります。
 
その一方で、貸与利率は教育ローンより低く設定されています。例えば第二種奨学金を令和5年3月中に貸与終了した者の貸与利率は、利率固定方式で0.905%、利率見直し方式で0.300%となっています(上限は年3.0%)。
 
さらに申請時期や申請期間(予定採用、在学採用)、対象者が決まっていることも、教育ローンとの違いです。奨学金の対象者は、国内の大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人となっており、高校や中学の資金には利用できません。
 

国の教育ローンについて

教育ローンには、国の教育ローンと銀行などの教育ローンがありますが、まずは日本政策金融公庫による、国の教育ローンについて確認します。
 
教育ローンの利用者は、原則、親など扶養者であり、当然ながら返済も、親がその義務を負います。そのため、子どもに教育資金の負担をかけない方法といえます。利用条件として世帯年収の上限が定められていますが、本人の学力要件などはありません。
 
融資限度額は最高350万円、返済期間は最長18年間となっており、金利は固定金利・保証料別です。例えば令和5年4月3日時点では年2.25%で、奨学金と比較すると少し高い設定となっています。
 
また、奨学金と比べて用途は幅広く、大学・短大はもちろん、専門学校や高校の資金にも利用可能である点や、入学金や授業料だけでなく、定期代やパソコン購入費にも使える点などが特徴となります。さらに、奨学金との併用も可能です。
 
申請は原則いつでも可能である点も、奨学金制度との違いとなります。
 

銀行などの教育ローンについて

国の教育ローンの他にも、銀行などの教育ローンを利用することもできます。前述した奨学金や国の教育ローンは、対象者が限定されること・基準や審査が厳しいことから、それらを利用できない場合に、銀行の教育ローンを利用するケースもあります。
 
利用者は原則として親であり、子どもに負担をかけることはありません。また、基本的には本人の学力要件や、世帯の収入要件がないことも特徴です。用途もより幅広く設定されており、小学校、中学校や高校などの資金に充てるほか、家賃や仕送りなどにも使用できます。
 
借入限度額は、銀行により異なりますが、おおむね10万円~3000万円までと最高額が高く設定されており、金利についても一定の範囲において、おおむね国の教育ローンより高い設定となっています。審査については、一般的には国の教育ローンよりは厳しくないケースが多く、申請から入金までの期間も短いことが特徴です。
 

まとめ

いざ、子どもの大学進学が決まっても、当初想定していた教育資金以外に、1人暮らしのための家賃や仕送り、海外留学といった資金が必要となることは往々にして起こり得ます。
 
事前に貯蓄や学資保険、つみたてNISAなどの方法で、教育資金が十分に準備できていれば全く問題はありませんが、明らかに不足する場合には奨学金や教育ローンで賄う必要が生じます。突然の事態に焦らぬよう、日頃から両者の違いなどを整理し、理解しておきましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
日本政策金融公庫 教育一般貸付 (国の教育ローン)
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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